2018年9月23日(日) 11:00am - 4:30pm コンサートホール、オペラシティ
ベートーヴェン 創作主題による6つの変奏曲ヘ長調op.34 12
ベートーヴェン エロイカの主題による15の変奏曲とフーガ変ホ長調op.35 23
Int
ベートーヴェン ピアノソナタ第21番ハ長調op.53ワルトシュタイン 11-4+9
Int
ベートーヴェン ピアノソナタ第22番ヘ長調op.54 5-5
ベートーヴェン ピアノソナタ第23番ヘ短調op.57 熱情 9-7+7
Int
ブラームス パガニーニの主題による変奏曲イ短調op.35 22
ショパン ピアノソナタ第3番ロ短調op.58 9-2+13
Int
ドビュッシー(横山幸雄 編) 牧神の午後への前奏曲 10
ラヴェル 夜のガスパール 6-6-9
(encore)
横山幸雄 バッハ=グノーのアヴェ・マリアの主題による即興 5
ピアノ、横山幸雄
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昨年2017年の同日に同企画を聴いたときは、他の演奏会があって途中退席。
2415- ベートーヴェン・プラス Vol.4 横山幸雄 ピアノ・リサイタル、2017.9.23
今年は全部聴きました。午前から夕方までの満腹プログラム。ベトソナは中盤戦のラインナップ。これらをメインに聴きに来たとはいえ、それ以外の作品もなかなか乙なもの。
まずはベートーヴェンお得意の変奏曲もの2作品。
思いの外、柔らかタッチで始まり、変奏切り替えは切れ味よく進む。いつまでも聴いていたい。変奏曲の面白みがにじみ出る演奏で、リラックスして満喫できた。やはり、エロイカは規模ありますね。
休憩を入れて次は、ワルトシュタイン。
最初ちょっと、音の運びが怪しい雰囲気ありましたけれどもすぐに立ち直る。第1楽章はアクセルかけまくりではなくて、なんというか、激しさに解を求めないもので、味なもの。
終楽章の頭の水切りのようなタッチが絶品、いい演奏でした。
お昼休みを入れた長い休憩の後、22番と熱情。
22番は2楽章だけの小品のように聴いてはダメ。やはり、興味が一段と湧くのは第1楽章の終わりかたですね。ここは人それぞれ感が大変にあって、極限の劇性を持たせたバレンボイムのが芝居ががっていて、20代の1回目のベトソナ全集から既に、オペラティックでドラマチック、いかにもいかにもといった究極モード。これにはまってしまうと、それが基準になってしまう恐さがありますね。
横山さんの22番は全体的には煮凝り風にこってりとまとまっていて、バレンボイムみたいに破滅的なコーダをする感性の人ではない、もちろん無いのだが、あらためてそういった割とさわやかな芸風を感じさせるものであった。
続いて、熱情。
中間楽章が味わい深い。何度も演奏してきた作品なのだろうが、じっくりと向き合う姿が音楽を深める。全般に転調が滑らかで魅惑的。深淵を覗き込むようなプレイ。
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ここまででベートーヴェンが終わって休憩。ブラームスの変奏曲とショパン3番。インターバルを挟んだ中ではこの2作品のまとまり規模がデカい。
聴くほうもだいぶ疲れが出てきた。ブラームスは淡々と進む。
続けてショパン。
ソナタという枠組みでのフォルムはその通りなのだが、一旦、それぞれの楽章の中に入っていくと形が溶解していってショパン独特のちりばめられた音の流れが美しい。アレグロ、スケルツォ、ノクターン、ロンド、それらはフレームのネイミングととらえつつ、それぞれの中身に耳を傾け埋没する。
素晴らしくさばきのいいショパンで、腕が鍵盤に同化している。聴きごたえ満点。
最後の休憩を挟んで締めはドビュッシーとラヴェル。
編曲物の牧神は同一音のロングフレーズがオケのようにシームレスに続いていかないのが弱みに出た感じで、尻つぼみな印象。ラヴェル風な響きの印象ありましたね。脳内補てんで頑張る。
夜のガスパール。メカニカルに正確であればあるほど言葉の本来の意味での印象的な響きが醸し出される。情景が浮かんでくる。ダークな色彩感のムード、キラキラよりもクリーミーで柔らかいタッチの横山さんの腕さばき、見事なものでしたね。
朝11時から夕方4時半まで、存分に楽しめました。
おわり