2018年4月13日(金) 7:00pm サントリー
チャイコフスキー くるみ割り人形 4ピース
行進曲、こんぺい糖の踊り、トレパック、花のワルツ 3-2-2-6
モーツァルト クラリネット協奏曲イ長調K.622 12-6-8
クラリネット、ポール・メイエ
Int
ドビュッシー クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲 7
クラリネット、ポール・メイエ
ストラヴィンスキー 春の祭典 17-19
シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団
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カンブルランは読響とハルサイを何度か振っていると思いますが、節目と言ったことにかかわらずこうやって時折振るのはいいこと、ねじのリセットになる。
演奏はかなりゆっくり目、殊更に切れ込みの深さを狙っているものではなくて、ハーモニーにコクをこってり求めているような味わいと色彩。自ら響きを確かめているような指揮ぶりだ。
1部にエネルギーの大きさを感じさせる演奏が多いが、今日はそんなこともなくて、1部2部同じ具合の粘着モードと放射。1部の慎重な味付けと音響美。2部は自由度の増したアンサンブルとドラマチックな展開。
カンブルランにとってハルサイがどのような位置づけにあるのか知る由もないけれども、他のいわゆる現音ものと変わらぬ思いで振っているように見受けられる。分解するのではなくて初めから解きほぐされている。最初から作品へのアタックに回答が与えられていて、その通りの演奏で、一種、スタイルともいえる。解像度というよりも分解済みの音束が進むごとに情報積分されていく。透明な圧力ですね。ジャングルジム風にあちらがよく見える音響がそのまま積み重なり巨大な束となる。圧巻の演奏。聴くほうも最後まで冷静でいなければならないのかもしれぬ。
休憩をはさんで2曲吹いたメイエさん。身体をゆする事のない演奏で、それが音楽の濃淡と比例しているわけではないと思うがわりとあっさりとしたもの。作品を楽しむ感じで聴いていく。ドビュッシーは牧神にかなり近い。
カンブルランが最初に置いたのはナッツクラッカーより4ピース。今日のプログラムはどのような趣向なのかわかりませんが、チャイコフスキーの最高傑作、充実した読響の響きを満喫。
おわり