●
新国立劇場のラインゴールド初日に行ってきました。
キース・ウォーナーのプロダクション再演です。
2008-2009聴いたコンサート観たオペラはこちら。
●
2009年3月7日(土)2:00pm
オペラパレス、新国立劇場
.
ワーグナー/ラインの黄金
.
キース・ウォーナー プロダクション
.
ヴォータン/ユッカ・ラジライネン
ドンナー/稲垣俊也
フロー/永田峰雄
ローゲ/トーマス・ズンネガルト
ファーゾルト/長谷川あきら
ファーフナー/妻屋秀和
アルベリヒ/ユルゲン・リン
ミーメ/高橋淳
フリッカ/エレナ・ツィトコーワ
フライア/蔵野蘭子
エルダ/シモーネ・シュレーダー
ヴォークリンデ/平井香織
ヴェルグンデ/池田香織
フロースヒルデ/大林智子
.
ダン・エッティンガー 指揮
東京フィル
●
ドンナーがハンマーをグルグル回しし、もやをかき集め、そのハンマーで岩に一撃を喰らわすと、ヴァルハル城が出来上がるまで仮の宿にしていると思しき小屋が縦に炸裂し、舞台の奈落に沈み込み、後方から真っ白い病棟のようなヴァルハル城の内部が押し出されてきて、天井がひらき、風船が舞い落ちてくる。。。。ヴァルハル城への入城場面は事実上の第5場の様相となる。
一聴衆からすると音楽に対する唖然とする劇的なものと、ポワーンとしたものが入り乱れ、これもワーグナーかなどと思ったりもするが、肩透かし感はない。
第2場でヴァルハル城を遠くに見渡すシチュエーションとなっているので、引越しのための仮の小屋のようなものが舞台のメインであるから、通常4場ものであるラインゴールドが最後の10数分の入城場面を分断された第5場ととらえてもいいのかもしれない。
直前、エルダが地面が割れて出てくるのではなくジグソーパズルから出てきてヴォータンに指環は受け取りなさるなと説法をするわりと唐突な局面、それに続く、ハンマーシーンといった具合で連続的な動きが出るところであるので、その頂点での場面転換は納得できるものだ。
それまで座って棒を振っていたと思われる2万パーセント バレンボイム状態のエッティンガーは立ちあがりピットより首一つ上に出しエキサイト気味に振り終える。
●
このラインゴールドの演出は喜劇なのだろうか。
ラインの乙女たちの足ダンス。アルベリヒのぬいぐるみ仮面。彼らは映画館でライン川の映像をみている。
段ボール箱から出てくるローゲはマジシャン?
ドンナー、フローのかなり爆気味な舞台への登場。
とてもお城なんか作れそうもないファットなファーフナー、ファーゾルト。
ハンディカムで撮りまくりのフロー。
最後に上手から下手に走り去った病人みたいなものはなに?
いたるところにある文字はひっくり返ったり裏返ったり。ニーべルハイムなんてひっくり返って裏返ってる。
カーテンコールで一列にならんだ出演者、背が一番高かったのはアルベリヒ。ここまでシニカルに考えていたわけではないだろうが。。本当かしら?
冒頭ヴォータンが映写機のようなものを聴衆に向け、全ては幻灯機でみる輪廻さ、と暗示する。これは同じプロダクションの神々の黄昏の最終シーンと相呼応するもの。(
二幕の描写・解説で、「傾斜の部屋」「舞台の上の舞台」とありますが、これは宮本亜門演出のラ・トラヴィアータとよく似た、と言うより同じような舞台装置ですね
亜門さん、ここからヒントを得たのかもしれない、ヒントを得たと言うより、これを真似たのかな・・・。(ウォーナー・プロダクションの実際の舞台を見ていないので、断定は出来ないのですが)
河童メソッドさんが、これまでご覧になった多くのオペラの中で、このような演出(部屋の傾斜・舞台上の舞台)は他にありましたか?
なんだか、宮本亜門演出のトラヴィアータをまだ引きずっている感じの黒鍵です。
コメントありがとうございました。
今回のような舞台は以前見たことがあったのか、忘れてしまいました。
エンタメのメッカ、メトでこのような実験工房的演出はまずありません。また、来日オペラハウスもあまりひねった舞台はわざわざ持ち込まないと思います。限られていると思います。
ですので東京リングのプロダクションの初演時は、日本にしては画期的な実験工房的舞台演出だったのではと思います。
椿姫の舞台は観ていないのでわかりませんが、同じような着想だったのかもしれません。イタオペも最近はこのような舞台があるんですね。新国立2008年シーズンのトゥーランドットにいったのですが、舞台に傾斜はありませんでしたが、演出がかなりひねったものでした。ブログに書いてますのでそちらもご覧くださいませ。
ラインゴールドは18日までありますので、一回観られたらどうでしょうか。
4月はすぐにワルキューレがありますが、傾斜、に関しては、第3幕のブリュンヒルデの眠りのシーンがかなり面白いと思いますよ。