2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
.
●
2013年9月19日(木)6:00pm NHKホール
.
ヴェルディ アイーダ (コンサート・スタイル)
第1幕 40分
第2幕 44分
(激しいブラボーと拍手) 8分
インターミッション 25分
第3幕 30分
第4幕 32分
(激しい拍手とブラボー) 17分
.
エジプト王、ロベルト・タリアヴィーニ Bs
アムネリス、ダニエラ・バルチェッローナ Ms
アイーダ、ホイ・ヘー S
ラダメス、ホルヘ・デ・レオン T
アモナズロ、アンブロージョ・マエストリ Br
ランフィス、マルコ・スポッティ Bs
使者、ジュヒ・クォン T
巫女、サエ・キュン・リム S
.
ミラノ・スカラ座
指揮、グスターボ・ドゥダメル
.
●
会心のアイーダ、圧倒的。
コンサート・スタイルをとりながら、それぞれの人物像がこれほどクリアに浮き彫りになったオペラ公演も珍しい。壮絶な美はアムネリスのバルチェッローナと思いますが、ラダメスのデ・レオンが最初やや安定感を欠いたものの持ち直し、他のシンガーもおしなべて、比して揺らぐことなく均整の良くとれたものとなりました。シェイプされてバランス感覚に優れた見事な総合アンサンブルだったと思います。オペラの舞台より明らかに精度の高いパフォーマンスで、歌い手の舞台ではみられない落ち着きと集中、ピットとはまた異なるオーケストラの高性能演奏、言うことありません。そのバランス感覚はドゥダメルのものであり最後のエキサイトした振りは人間的ではありましたが、概ねこのオペラの悲劇的な美しさが冷静に出ておりました。
この1981年生まれの若者がなぜスカラ座相手にアイーダを来日公演でこのように振れるものなのかわかりませんけれど、お見事の一言に尽きます。
素晴らしいシルキーサウンド!!
ドゥダメルの棒は魔法の棒!!
.
第1幕は悲劇の始まり、ドゥダメルは気張ることもなく大げさな動きでもなく、どちらかというとサラッとしていて余計な動き目障りな動きが皆無なのである。おそらくピンポイントの的確な指示がオーケストラに出ているに違いない。日本人の一部大げさ系の棒振りにドゥダメルの爪の垢でも飲ませてやりたくなる。ピアニシモでラ・スカラをドライブするなんて最初から興奮。
第2幕2場へ向けて、静寂から華麗な盛り上がり。
3本ずつ左右にわかれたアイーダ・トランペットの音は美しく、誠にきらびやかに乱れなく揃い華麗なものでした。華麗さよりもむしろきれいにそろっているのが印象的。均質でそのことが美しい。オーケストラ全体含め大騒ぎにならないのが本当に心地よい。アイーダの美しさの側面がよく出ていたものでした。
ここまで、緊張感と美しさ、休憩前の拍手とブラボーがなかなかとまらない。
.
後半
最初からそうだが、ドゥダメルの棒、オーケストラがかなり遅れて入ってくる、それが当たり前みたいな感じが心地よい。オーケストラとの息がぴったりな感じ。
後半はドラマチックで息をつく暇がない。圧巻は第4幕第1場、アムネリスのバルチェッローナ、鬼気せまる壮絶な美、巨体迫るエチオピア王でホールが揺れたのもすごかったが、バルチェッローナの歌はそれを越えました。強靭な声が悲痛に願い訴えるヴェルディ白熱の絶唱。拍手とブラヴィッシマがやまない。(実際にはブラボーコールのようでしたが)ここは本当にすごかったですね。
あとは悲劇の終結部へ。タイトルロールを完全に食ってしまったアムネリスではありましたが、ホイ・ヘー、ホルヘ・デ・レオンがよくなかったわけでもなく、最後は悲劇をきっちりと締めました。
ドゥダメルの見事な棒がさえわたり幕。
激しい拍手とブラボーが20分近く続きました。聴衆のこのような熱烈なブラボーはなんだか久しぶり。やまぬ。
.
スカラ座の高性能のオーケストラと強靭な合唱。全く騒ぎ立てない。これはドゥダメルのマジック棒のなせる技だろう。
また粒ぞろいのソリストたちの底力のようなものも感じました。心地よく歌えたのも指揮者の力、とにかく何もかもがこのポーディアムの指揮者に全てが集中してくる。これはすごい。さらに聴衆も同じような集中となり、なにかホールの中心点が指揮台の指揮者にあり、周りのすべてが宇宙空間のような錯覚に陥った。
最後の局面でドゥダメルがわりと振り乱れたりした、それにしても全曲にわたりこれだけの緊張感を保持していたのはお見事の一言。
この上ない一夜、ありがとうございました。
おわり
僕も大阪フェスティバルホールでの公演を聴き
河童メソッドさんと同じような感想を抱きました。
スカラのオケはドゥダメルを育てようとしているのか
或いは彼を本気でリスペクトしているのか。
多分その両方あるのだと思います。
本当に素晴らしい好演でした。
スカラを平然と振る姿、たいしたもんでした。
注目の指揮者ですね。