2012-2013シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2012-2013シーズン
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2013年7月22日(月)7:00pm サントリー
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ドヴォルザーク チェロ協奏曲
チェロ、ニコラ・アルトシュテット
(アンコール)
バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番より「サラバンド」
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グラズノフ 四季
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小泉和裕 指揮 東京都交響楽団
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前半の伴奏においてもこのオーケストラが一段上をいっているのがよくわかる。具体的にうまく表せないのだが、昔聴いたLPはトップレベルのオーケストラのものが多く、解像度が高く、マスの鳴りよりもアンサンブルや同一セクション単位の響きの良さ、それからボテボテしていなくてきっちり引き締まっている、そのような具合のLPをたくさん聴いてきてそれが当たり前みたいになってしまっている部分もあるわけだが、実際に生演奏を聴くとそうでもなかったりする。ところがこのオーケストラは昔聴きまくったLPと同じようなハイレベルのサウンドを醸し出している。
一言で言うと、粒立ちの良さ。
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国内のオーケストラは昔とは本当に比べ物にならないぐらいうまくなったのだが、その中でもこのオーケストラはいつ頃からこんな感じになったのだろう。きっかけみたいなものもあるのだろうか。
アンサンブルの粒立ちの良さは、むろん個々人のレベルの高さからくるものであろうが、どうもそれだけとは思えぬ。
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というわけで前半のコンチェルト。アルトシュテットの素直で自由な語り口、伴奏する解像度の高いオケ。滑らかに流れるチェロとガラスのように透明なオーケストラサウンドの響きが、双方溶け込むことはないが、それであればなおさら協奏曲の味。分離されたものどうしの美しさ。明晰です。
ですので、ドヴォルザークの、この覚えやすい節だらけの、そしてお国の節まわしだらけの曲であっても、情感とかそういった部分での思い込みのある演奏では、全く無い。第1楽章第2主題における無機的とさえいえるホルン・ソロ等を聴いているとその思いが強い。(先週の金曜のウルフ&読響のトップでしたけれど)
全体にこのような鳴りが多いのは、気持ちがはいっているいないとか、無機質とかそういったものではなく、一流オーケストラになる途中ステップであり、そのプロセスの真っただ中にあるように思える。うまくなる途中ではこのように一聴、機械油が必要最小限で一番効率のいい動き、そのようなプロセスの時が必ずあるものだ。これを越えると本当の自分たちの音が出来るに違いない。自分たちで作った音であれば、かのクリーヴランドのようにセル後何十年経っても独特の響きで一流であり続けているようなことが視野に入ってくるのではないか。
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粒立ちのいい響きは気持ちがいいもので、後半の四季は、混ざりけのない水滴同士がぶつかっているような美しさで何も言うことはない。光に照らされた宇宙の内側を見ているような響きの美しさで、これがオーケストラサウンドの醍醐味。
指揮者もこんなに気持ちのいいことはないだろう。
グラズノフ、満喫しました。
ありがとうございます。