会社の人間、男だけ6人でイタリアン・レストランへいった。
仕事がらみんな頭的には理系。
こんなのが6人そろってイタリアン・レストランなんかいっても絶対だめだろうな、こいつら、とは思っていたのだが、案の定そのとおりとなった。
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片肘をテーブルにつけて食べる50がらみのおやじとか、食いものよりたばこ優先のアホとか、白ワインと赤ワインの飲み方の違いをマコトシヤカにきくこれまた50がらみの人間とか、君ら今までどのような人生を歩んできたの。
そこそこ給料があり、もう少し知っていてもよさそうなものだが、片肘をテーブルにつけて飯を食らう人間は、息子はきっと猫まんまズルズルでもなにも言わないのかもしれない。おそろしいね。。
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それはそれとして、もっと一番どうしようもないこと、それは、食っているものをあじわうことをしない理系人間脳。
お店のマスターがせっかく料理のことを説明してくれてそのつもりで味わいながら、今の秋なら、その季節感を感じながら食べて、これはおいしい、ちょっと、どうだこうだ、とか言いながら食えばいいものを、出てきたアペタイザーを、全員揃うのをまつことなく、ハシでがつがつ食い始める。
6人目の人間(河童=御招待者)へお皿がついたころにはあらかた食い終わり、歯をシーシーやっている。
食ったことがないとかそういう問題ではない。
もう少し礼儀作法があってもよさそうなものだが、日本人の非常に悪い悪癖文化とでもいおうか、よく特急など指定席ものにすわると、突然家の延長、家族団欒の延長となってしまうのを見かける。
あれは外国ではありえないし、コンパートメントでももう少しましだと思うのだが、レストランにいってもあんな感じ、家で飯を食らう姿そのままが、なんの抵抗もなく公の場に展開される。
自分の金を出すところは自分のスペースであり、何をしたって自由だと思っているんだ。きゃつらは。
それは自由ではなく、勝手、と言う。
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公共スペースでの振舞い方をしらない人間が最近特に多すぎる。
まぁ、外食をまともなマナーで食えない連中に何を言っても無駄だと思うのだが、まわりにはそのような理系頭が多いのでやたらときになる。
それにしても、5人ともハシで食らうイタリアンは見ものだった。
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昔、小料理屋へ別の完全完璧理系頭を連れていったことがあるが、キスのお造りを頼んだら、唇で濡らしたハシを、キスの頭からしっぽにかけて一気に全部すくいあげて一口で食った。
頭を切り裂いて脳みそを分解してあげようかと思ったが、こっちはこっちで頭にきているので、もう一回同じものを頼んだら、また全部すくいあげて食われた。
そしてその限界人間の一言が奮っていた。
「どうして、早く食べないの。早く食べないとなくなるよ。」
これが50過ぎの人間が言うセリフか。
このような理系脳は別の人類というか、最初からつきあったりしたらいけなかったんだ。
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もちろん、絶交して、その後会うこともなければ消息も知らない。
おわり
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