河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2377- ハイドン102、ブルックナー3ノヴァークed v1、ミンコフスキ、都響、2017.7.10

2017-07-10 23:26:06 | コンサート

2017年7月10日(月) 7:00pm 東京文化会館

ハイドン 交響曲第102番変ロ長調 8-6-4+4′
Int
ブルックナー 交響曲第3番ニ短調 (ノヴァーク版第1稿) 21-17-6+14′

マルク・ミンコフスキ 指揮 東京都交響楽団


(duration of ab)

1st mvt. 4-2-2-6-2-2-1-2
2nd mvt. ABCBABCAcoda 2-2-2-1-2-2-1-4-1
3rd mvt. 2-2-2
4th mvt. 1-3-2-4-1-1-1-1


万年筆で文字を書いていると筆タッチが凄く良いときとまるでダメな時があって、ダメな時は考えもまとまっていない時が多くて全てが悪コンディション、ノリの良くない下手な字のものが出来上がる。この初稿を聴いているとそんな悪いときのことを思い出す。閃き無しで冴えも無しと思う。初演リハの際の演奏不能というのは技術的な話ではなくてやる方も聴く方ももたないという話だったのだろう。実際のところ初演時にもギヴアップが沢山出たようですから、タイムマシンがあれば作品よりもその惨状を見たかったというのがほんね。存在意義は最高峰の9番まで作った人の作品であることと3稿まであるうちの初稿だからという話だからだろうと疑いたくもなる。

ブルックナーポーズはほぼ無くて最初から最後まで割とせわしなく律動が繰り返される。演奏のほうもその律動を延々と繰り返す、それはそれで恐れ入る。
形式は崩壊しているのか成長段階なだけなのか、聴いていて辛うじてたどっていくのは可能だ。一番厳しいのはアダージョ楽章で、主題が3個なのは両端楽章からの伝染なんだろうか。ABCまで行きBAと逆に戻りそこからBとCを逆にしてBCAともう一度戻る。そのあとは付け足しのようなコーダ。3回目のAが一番濃くて長い。クライマックスの位置づけ。メロディーラインはABCと進むにつれて貧相になる。ブルックナーの筆のノリは良くない。
それから、両端楽章のソナタは第1主題の短さが耳につく。特に終楽章の第1主題はあっという間の出来事で第2主題が補てんしているような具合で長くなる。著しくバランスが取れていなくて名目上の形はあれどアンバランスといった造形的な部分でのノリの悪さも耳につく。構造美が感じられない。再現部のササっと切り上げにもあっけにとられる。
展開部はそれなりに十分展開されている。ツギハギのような主題羅列ながら相応な練りは入っていると感じる。後期作品でもこんなに展開部が長くなることはあまりありませんしね。
展開部に重心を感じるのでそこはスタティックな物腰、全体としては落ち着きのない作品、そのように感じました。
あと、終楽章コーダで前楽章主題がかすかに再帰するのは萌芽、と、一点の救いはあった。

ミンコフスキと都響の組み合わせを聴くのは3回目、最初がビゼー3作品を並べた短いプログラム。2回目がブル0を配したプログラム。今回が3回目。
ミンコフスキのプログラムビルディングにはむろんご本人の意思が良く入り込んだものだろうと推測される。今回のブル3初稿は奇を衒ったものなのか、遊び心なのか、発掘なのか、信念なのか。
ハイドンの序奏の入念さ、それとかい離した提示部以降の音楽作りは作為に過ぎるものでぎこちない。オケは殆ど揺れていない。著名指揮者の言うとおりに動いているだけ。シンフォニックなノリが出てきたのはメヌエット楽章あたりから。ここらへんから都響の硬くて明るめの音にさらに艶が入り美しい演奏となる。以前聴いたようなとろみのあるものではなくて比すと硬直さが前面にきていてどうもいまひとつしっくりしないというのはある。
このハイドンの指揮者の作為、やろうとしていることのオケの吸収度合い、それがブルックナーにも出ている。ハイドン後半滑り具合がよくなったのでブルックナーも比較的こなれた柔らかな雰囲気を醸し出しつつ進行していったのだけれども、揺れが無い。大野都響が田園で魅せたような全員歌う揺蕩うようなところがここでは見られない。ゆらゆらと揺れて歌うあの合奏があれば今日のブルックナーもなにかしらツボは感じられたように思う。
主題単位に堰止湖状態になる演奏は厳しい。作品がそのようなものなのでいたしかたないとはいえ、ここでは都響のオーケストラとしての機能美を総動員して大胆に歌い尽くす圧倒的な演奏、醍醐味を存分に味わいたかった。指揮者には抑えつけではなく開放がより必要だったと感じた演奏会。
おわり


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