●
1983-1984シーズン聴いたコンサートより。
ワールトが手兵のサンフランシスコ交響楽団をひきつれてニューヨークまでやってきました。
.
1983年11月4日(金) 8:00pm
カーネギーホール
.
リャードフ/キキモラ
サン=サーンス/ピアノ協奏曲第4番
ピアノ、オラシオ・グチエレス
エルガー/交響曲第1番
.
エド・デ・ワールト指揮
サンフランシスコ交響楽団
.
今日は始まる前から眠かったが、このサン=サーンスは通俗的で眠気をさらに誘う。
それに比べて、エルガーの曲はシックリしていて、ちょっと長すぎると思ったが、手ごたえあり。
特に指揮者のこの曲に対する思い入れ、愛情の深さがよく表れていて、丁寧でわかりやすい演奏となっていた。
曲は最初、ピアニシモで行進曲風のメロディーがゆっくり流れ、それが第1楽章の導入部になっているだけでなく、全曲を一貫して支配していて比較的聴きやすい。退屈するような曲ではない。
ワールトはこの曲に特別の思い入れがあるのか、共感、愛着の念が観えてくる。特に第3楽章アダージョ結尾部における幻想的な雰囲気には圧倒された。オーケストラに彼の意思が乗り移ったような、静かで独特な情緒を醸し出していた。
私がイギリス人であったならば、故郷を思うその愛国心からきっと泣いていたことだろう。
エルガーの曲にはそれぞれの故郷を思い出させる何かがある。
●
昔の河童ノートにはこのような、わりと、本当にどうでもいいような駄文が短く刻まれている。
早い話が、わかっていなかったのだろう。
いま振り返るとワールトのエルガーなんて、あんまりありえないような気もする。
●