Tuning Week フィルハーモニック -2-
新しいホールでの開幕公演はもちろんわくわくするが、その前に、ちょっと寄り道してみよう。9月23日のオープニングに先立つこと4か月ぐらい前、ホールがもうすぐ完成するという時期。フィルハーモニックはホールのチューニング作業を行った。
「音試し」
不安いっぱいの様子がよくあらわれている。
Tuning Week
1962年5月28日の月曜日、ニューヨーク・フィルハーモニックは真新しくていまだ完成していないコンサートホールで最初のテストをした。一週間の間、建築家、アコースティック・エンジニア、演奏者たちがホールのチューニングを行った。交響曲は指示により始まったり突然止まったりした。アコースティックテストのために特別に作られた音楽が演奏された。ブランクカートリッジに電気が流れた。ゴングは鳴った。残響時間が計られた。独奏者たちが演奏した。一番高いテラスの位置にいるアコースティック専門家や観客席の一番遠いコーナーにいる専門家が指示を与えることができるよう、沈黙が継続的に要求された。交響曲がまるごと録音され、プレイバックされた。、フィルハーモニック・ホールはこれで聴衆を没頭させることができる。黄色い安全ヘルメットをかぶった建築労働者がビルディングの外側から中へ移動した。作曲家、指揮者、演奏者たちがささやき声で話し合った。スタッフ秘書が伝言をフィルハーモニックとリンカンセンター事務所へ持って来た。帰らず聴くことが残っている。セッションの間、奏者たちは練習に集中していなかった。ときおり、制服を着た警備員が、出入口に奇妙に立ってた。
リンカンセンターはアメリカの多くの美術館に作品がある芸術家ヘンリー・ケルナーに、この歴史的な週間の記録をお願いした。ここに描かれているのは彼のスケッチである。
end
スケッチはアップしないが、不安な様子がわかる。何しろ音が命のホールで、最初に音を出すわけであるから、未体験ゾーンにはいる入口にいるわけだ。
結果的には、このフィルハーモニック・ホールはのちに改修されエイヴリー・フィッシャー・ホールとネイミングが変更になる。理由は音響改善のための改築である。
さらに、最近、カーネギーホールへ戻るかもしれない。という話も一時持ち上がったが、立ち消えになったようだ。カーネギーホールは音は良いが、地下鉄のサウンドも結構ブレンドされている。あれは河童通勤の地下鉄だから文句は言えない。
(続く)