河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2271- カルメン、藤原歌劇、ヤマカズ、日フィル、2017.2.5

2017-02-05 20:35:04 | オペラ

2017年2月5日(日) 2:00-5:40pm 東京文化会館

JOFプレゼンツ
ビゼー作曲
岩田達宗 プロダクション
カルメン

キャスト(in order of appearance, also voices’ appearance)
1.モラレス、押川浩士(Br)
2.ミカエラ、小林沙良(S)
3.スニガ、伊藤貴之(Bs)
4.ドン・ホセ、笛田博昭(T)
5.カルメン、ミリヤーナ・ニコリッチ(Ms)

6.エスカミーリョ、須藤慎吾(Br)
7-1.フラスキータ、平野雅世(S)
7-2.メルセデス、米谷朋子(Ms)
8-1.ダンカイロ、安東玄人(Br)
8-2.レメンダード、狩野武(T)

児童合唱、東京少年少女合唱隊
合唱、藤原歌劇団合唱部
平富恵スペイン舞踏団
山田和樹 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


(duration)
Prelude 3′
ActⅠ 45′
Int
Interlude 2′
ActⅡ 38′
Int
Interlude to scene1 3′
ActⅢscene1 37′
Interlude to scene2 3′
ActⅢScene2 16′



ヤマカズさんのオペラデビュー公演。合唱のほうは振り慣れてるでしょうし、オケもいつものオケ。タクトを振るための腕は既に満たされているでしょうから、あとは総合芸術としてどう?、うんぬんかんぬんといった話だけだと思います。ご本人はペレメリでデビューしたかったようですが、両ロールや合唱のこともありますから、このカルメン、まぁ、内容的にも良かったと思います。
藤原歌劇団いつもの公演のひとつ。都民芸術フェスティバル参加公演。

音楽的な深刻度は3,4幕だと思いますが、この日の公演、2幕が大変に充実していました。合唱、エスカミーリョ登場、5重唱、カルメン、ホセそれぞれの独唱、それにデュエット、次々と濃いシーンが連発。
圧力のある合唱は強靭、高精度の伴奏オケ、秀逸な展開でした。音に芯がありましたね。舞台は高い建物の壁が占めていて狭く感じる。狭い舞台での大人数の動きはかなり窮屈なもの、合唱はかたまって歌えるのでかえって充実のアンサンブル、という具合。オーケストラは登りつめる小刻みなパッセージまできっちりと揃っており精度が高い。オーケストラル・グループらしいアンサンブルで充実。それとヤマカズの粋なテンポ。前へ前へと進んでいく。変に耽溺しない。やりつくされたオペラ、この進行は正解と思います。ズブズブにすれば味わい深くなるというわけではないですし。
ホセ笛田、エスカミーリョ須藤は昨年の今頃やった同じく藤原歌劇トスカでの、マリオ笛田、悪代官須藤のコンビ再現。ド迫力のトスカを思い出しました。カルメンのほうは少しやにっこいロールとなりますがきっぷの良さとメリハリのある歌でキャラクターをきめましたね。
タイトルロールのニコリッチは大柄な女性、1幕とこの幕は素足生足の大熱演。素足でも男連中含め一番上背があった。動きもよく、ダンシングをしながらの歌はなかなか見ごたえあり。大柄な分、声もデカい。横幅のあるメゾの声域楽しめました。1000円プログラムブックレットには、カルメンの衣装デザインのイラストが載っていて、それには1幕と4幕の衣装イラストが描いてありますが、実際は第1,2幕が同じ衣装、3幕はズボン、4幕はドレス。それぞれ楽しめます。
合唱、エスカミーリョの流れから5重唱へ。テノール&バリトン、ソプラノ&メゾ、それにメゾのカルメンをいれてのキャラクターのきまり具合、動き、見事な重唱を展開。脇を固めていて締まる。この充実の5重唱は動きと歌さばきが結構あとまで残りました。いい具合でした。ヤマカズ棒もさえている。いい流れです。タクトが生き生きと。
そしてホセ、カルメンの独唱とデュエット。体当たりの演技と歌、マリオ、トスカのすかっと感とは別物のダークなものですけれども、そんなに広い声域に飛ぶことの無い歌、しっかりと歌い切っていました。このシーンも印象的でしたね。
スニガの入りは場違いで野暮なシーン、無くてもいいと思うが、カルメンの仲間たちがホセを実質助ける役をしてしまうので、ホセとしてはそのあと彼らの仲間になってしまう、その布石のシーンと思えばいいのだろう。2幕フィナーレへなだれ込む。充実の2幕でした。

ミカエラ、淡くて憐れな役どころ。3幕4幕での歌は聴き応えありました。ちょっと鋭角的なリリックで幅広、一点で押してくるわけではなくて広がっていく感じ。
児童合唱も充実。みんな大きくて児童には見えない。明瞭な歌声でピッチも正確。

舞台は総じて窮屈。高い建物の壁を4幕通して活用。左右から結構な圧迫感で、舞台中央の歌い手たちはその中であちこち動き回る。かなり狭く感じる。
舞台奥に赤い月。これがポイントだろうが、特に仕掛けは無い。
細かい振り付けは、第4幕最終シーン、ナイフ前、ホセのかなりな暴力的シーン、など色々とあるようだ。ポイントになる動き、意味のある振りつけはない。歌そのもので魅せてくれたという印象が濃い。
同じく終幕の闘牛場の位置、はじめはホール聴衆席側が闘牛場、後半は舞台奥が闘牛場という設定か。180度水平回転したという話。イメージの転換がなかなか進まなかった。

岩田さんの演出ノートは分かりにくい。観念的に過ぎると思う。舞台そのものへの実現性をもう少し聞きたい。赤い月の話しは相応にわかるが舞台では思ったほどの効果にはなっていないと感じる。それと、我々、と何度も書いてあって仲間たちをいれた複数の方たちのプロダクションなのかとちょっとすっきりしない部分がある。

それから、1000円のプログラムを買わないと何もわからないというところはあいかわらずで、毎度、改善を願う。色々と事情があるのだろうが工夫が必要。プログラムで儲けよう若しくは補てんしようということなのかどうかは知らないが、買ってくれないと損をしてしまうということなら工夫は多くある。
おわり




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