河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

パルジファルとパルシファルの泣き上戸

2006-08-08 00:01:34 | 音楽

コンサートの醍醐味は、音響の迫力、響きの美しさ、あるときは形式感への集中、また指揮者の演奏解釈の理解、など尽きるものは無い。

また始まるまでの事前準備としての精神の高揚、コンディション作り、体調管理、なども怠ってはいけない。

そんな中、一番楽しいのは終了後の感想の述べ合い、言い合い。それも場所を変えて、一杯飲みながらの歓談が一番楽しい。

NHKホールなら、21時頃に終了したあと、その日が金曜日であればゆっくりできるので、小1時間ほど、塔レコやHMVでCDを物色する。ここには同じようにコンサートを聴いてきた連中が余韻を楽しみながらうじゃうじゃと歩き回っている。NHKホールの延長のようだ。

そしておもむろに、感想を述べ合う場所に向かうのである。渋谷なら、あすこかあすこ、盛り上がりたいときはタクシーで六本木のあすこかあすこ。

そして、まずはビールから。

静かな悪友S「河童さん、今日の演奏はどう感じましたか。」

河童「そうですね。水も滴るいい演奏でしたね。シュタインもよく立ったまま棒を振り切りました。さすがにバイロイトで活躍しただけの根性は今でも健在のようですね。」

S「はいはい。私も同感です。」

河童「それでは、乾杯しましょうか。」

「乾杯」

S「今日のN響定期は、パルシファル第3幕というユニークなものでしたね。」

河童「第1,2幕を昨晩、頭の中でシミュレートしてイメージを作り上げておきました。」

S「そうですね。いきなり第3幕からというのは、ちょっとつらい。」

河童「でも、パルジファル全曲で私が一番強く感じるカタルシスはあすこなんです。つまり第3幕の練習番号252の一小節前から聖金曜日を導くティンパニの5つの音。あんなにシンプルで雄弁な音楽はめったにあるものではない。あすこまでいきつくのにオペラ公演であれば、休憩も含めて4時間半ぐらい我慢しなければなりませんね。」

S「ごもっとも。今日は3幕のみでしたから、30分ぐらいですぐにたどり着きました。それにしても素晴らしい1時間20分でした。N響のヴァイオリンの高音がホール全体にみずみずしく響きました。私は久しぶりにワーグナーの音に感動しました。」

河童「シュタインの足はかなり悪そうだし、棒もほとんど10センチ四方しか動かない。

それでどうやれば合計200人にもおよぶオケと合唱団とソリストたちを圧倒的にコントロールできるのか。何故あんなに素晴らしい音楽を作ることが出来るのか。

聖金曜日が鳴り渡り、オーボエがソロを奏でるあたりで河童の目も皿も、もはや真っ赤。

そして、春になると畑や小川の小さな誰も見えない場所から雪が解け始め、ガサッという音とともに、小さくくず折れた雪の下には既に早春の草花が芽をだしている。

地面からは春の陽射しとともに、湯気のようなものがたちこめ、小さな草や花がめでてくる。

少年は学校の行き帰りその目線で、そのような変化を感じ取り、一日一日の違いを走り抜けていた。そのような決して戻りこぬ昔の懐かしい思い出。それは夢か現実か。我々は救われるのか。。。。。私の体は終結部にむかって固まってしまった。

そして、歌いきったパルジファルのポール・エルミングはパルジファルその人となり、終わっても頭を抱え込んだままいすに座って動かない。

なにもかも本当に聖金曜日の不思議だ。

あぁ、全ての苦悩は取り払われてもシュタインの足は癒えないのか。」

S「ままぁ、ままぁ、河童さん、酔いのせいか少し舌が饒舌になってきましたね。」

河童「はっ。」

S「河童さん。正気に戻りましたか。私も今日のパルシファルには心から感銘を受けました。シュタインがそこに存在するだけで音楽は生き返りました。やはり圧倒的アルチザンでした。私も同じく泣けました。」

河童とS「今日は泣き上戸に乾杯。」

河童「ところでSさんはバイロイトやメトまでわざわざワーグナーを聴きに行くほどの猛者だとうかがいましたが。」

S「ワグネリアンというほどではないですが、そこそこかなり好きです。」

河童「リングの公演はバイロイトで見ましたか。」

S「バレンボイムのを見ました。メトにも行きました。日本での初リング・サイクルも見ました。」

河童「それはすごい。Sさんはワグネリアンと呼ばれるのを嫌がってるみたいだし、日本のワーグナー協会にもはいってないでしょう。孤高の趣味、といったところでしょうか。」

S「そうですね。あまり縛られたくないし、あくまでも個人的なものです。」

河童「なるほど。メト座の河童はメトのリングサイクルのうち最初の年のワルキューレしか見てないのですが、もう少し長く棲息していれば、一緒に見れたかもしれませんね。」

S「そうでしたか。」

河童「私は明日もこのパルジファル見る予定です。」

S「私は今日ので精魂尽きてしまいました。明日は仕事に精を出します。

ところで、ここはいいお店ですね。渋谷からタクシーできた甲斐がありました。特にこの〆鯖。」

河童「はい。〆鯖は河童の好物で、ここのはとくにいけるんです。」

N響定期1998218()19()

ワーグナー

舞台神聖祭典劇「パルジファル」第3(演奏会形式)

ホルスト・シュタイン指揮

3幕のみ演奏会形式で行われたパルジファルの公演は両日とも聴いたが、今まで聴いたことも無いような圧倒的な演奏であった。特に2日目は神がかり。

初日はいつも通りNHK-FMライブがあったはずだが、あの音は現場でしかわからない音だと本当に思った。

両日の内容についてはあらためて書きたいと思う。

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