ワーグナーの公演に力を尽し、アメリカにおいて1891年にニューヨーク・フィルハーモニックの指揮者となったアントン・ザイドルは1898年3月28日にフィルハーモニック在任のまま亡くなった。
いぜんちょこっとだけ書きました。
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彼がいかにワーグナー、そしてフィルハーモニックに貢献したか。
亡くなって5日目の演奏会を見てください。
死ぬほど長いコンサートです。
そして、彼への敬意以外なにものも存在しない強烈なインパクトで演奏会は終わっております。
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ニューヨーク・フィルハーモニック
1897-1898シーズン(第56シーズン)
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1898年4月2日(土)8:15pm
カーネギーホール
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(前半)
①バッハ/前奏曲、コラールとフーガ
(J.J.Abert編)
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②ヘンリー・ホールデン・フスHenry Holden Fuss/
シーン、クレオパトラより
ソプラノMme, Clementine de Vere Sapio
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③ウェーバー/オイリアンテ序曲
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(後半)
④ベートーヴェン/交響曲第9番/
第1楽章
第2楽章
第3楽章
⑤ワーグナー/ジークフリートの死
(アントン・ザイドル追悼)
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Frank van der Stucken 指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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この公演に合唱団は出演しておりません。
4人のソロもいません。
別の曲に出演したソプラノのサピオがいるだけ。
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人類愛を祝祭的にうたった第4楽章はありません。
かわりに演奏されたのはジークフリートの死。
この驚愕のプログラムが、ザイドルの存在の大きさを物語っております。
ワーグナー演奏に巨大な足跡を残したザイドルが、その後アメリカにわたり活躍の場となったオーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックの公演で、作曲家Frank van der Stucken の棒のもと、このような追悼公演が催されました。
非の打ちどころのない完璧なプログラム・ビルディングです。
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一応、
④4曲目が第九の第1,2,3楽章、
⑤5曲目ジークフリートの死、
となってますので明確な区切りがあったような気もしますが、当日は別件がはいっていたのでこの公演は残念ながら聴けませんでした。
拍手があったとは思えません。
過去にさかのぼれるタイムマシンが出来るまでその日の検証はとっておきましょう。
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このような非日常的プログラミングが第九の非日常性とショッキングなコラボを組むことにより事の重大性を示したわけですが、それに比べるのも恥ずかしい日本の師走恒例第九遊び。
なにかにつけて〆たがる日本人のことですから、別に勝手に遊んでいればいいわけですが、年末のこの大事な時節、ほかの公演ができなくなるのが残念。
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ニューヨーク・フィルハーモニックはだいたい週4度のサブスクリプション・コンサートをこなしていますが、この時期、クリスマス・イブあたりから年末までお休みとなります。
ゆっくりとお休みを取り大晦日のニューイヤーズイブコンサートあたりから再開し、祭日は1月1日だけですから、まぁ、その日も定期があったりしますから、元日とか関係なく突き進んでいきます。正月よりもクリスマスが大事。当然と言えば当然ですが。
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2009-2010年シーズンからは、指揮者もマゼールからギルバートにいっきに若返ります。
そのアランがこの前、N響を振りました。
ちょっとだけ聴きましたので、しばらくしてからブログにアップしてみますね。
おわり
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