2019年9月28日(土) 2pm-4:20pm 紀尾井ホール
J.S.バッハ ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042 9-6-3
ヴァイオリン、ライナー・ホーネック
メンデルスゾーン 弦楽のための交響曲第10番ロ短調MWV N 10 11
Int
ベートーヴェン プロメテウスの創造物Op.43 全曲 75
語り、西村まさ彦
ライナー・ホーネック 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団
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プロメテウスの創造物 duration
語り 7
序曲 5
Ⅰ~Ⅳ 10
語り 1
Ⅴ~Ⅷ 19
語り 1
Ⅸ~ⅩⅡ 10
語り 2
ⅩⅢ~ⅩⅥ 20
来年のベートーヴェン生誕250年に向けて色々とレア演目を内々に聴いていくうちに、この演目の公演を早めにチェック。全曲公演というのにはなかなかお目にかかれない。貴重公演ですね。
俳優の西村まさ彦さんがはっきりとした口調で語る。俳優の発声はさすがだと思いましたね。冒頭、縫いぐるみを持ち腹話術風に語るところから始まる。結構長く話しして、その後は、次のシーンを4曲ずつ語る。これは分かりやすい。全体で80分に迫ろうかという長丁場のプロメテウス、語り付き公演。
作品43というあたりを頭の中に入れながら聴いていく。ベートーヴェンのワイルドな運びのリズム、それに流麗なメロディー、それらがせめぎ合いながら進行。やや埃っぽい、でなければシックとでも言おうか、そのような色合いのオケの雰囲気も良い。ドライです。これが何故か質実剛健を感じさせてくれるところもあって生真面目さと勇猛さがハイブリッドしている。手応えの大きな演奏でした。ベートーヴェン見えました。
馴染みの序曲それに終曲のエロイカ。全体を通して聴くと終曲はあまりにツルツルしたピース、多少の違和感もある作品というところも無きにしも非ず。聴後感としては総じて大きな一曲でしたね。
顔ぶれは寄り合い所帯で、種々のプロオケの連中が多い管セクションはこういった音の響きに慣れているだろうし、さまになるし安定感ありますね。ちょっと音が強いところも見受けられます。弦がもっと前に出ても良さそうですが。バランス配慮は指揮者のものでしょう。
プログラム前半の一曲、ホーネック弾き振りのバッハ。ひとつとびぬけて艶がある。バックに比べて音に幅があり音も大きいがそれよりもなによりもツヤですね。輝いて濡れている。以前もここで聴いたことがあるが同じような弾きを毎度している。凄いもんですね。
楽章が進むにつれて長さがしぼんでいく作品、これはしぼんでいくのではなくて作品の緊張の糸が進むにつれて時間軸を感じさせなくなるのだろうなあなどと思う。空間がゆがみ構成感は正しく屹立している。バッハ堪能。
続くメンデルスゾーン。初楽章といった雰囲気の一品。それにしては結構規模感がある。さっきのバッハでのホーネックのツヤが弦のセクションに転移してきたところも感じる。
企画、内容ともに満足な演奏会でした。ありがとうございました。
おわり