河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1257- ブルックナー 交響曲第8番 ダニエル・ハーディング 新日フィル2011.6.17

2011-06-19 14:35:32 | インポート

2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2010-2011シーズン
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2011年6月17日(金)7:15pm
すみだトリフォニー
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ブルックナー 交響曲第8番(ノヴァーク版)
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ダニエル・ハーディング指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
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熱気のこもった素晴らしい演奏でした。特に柔軟な歌が見事でこのように歌うブルックナーはあまり聴いたことがありません。
少し前、都内でやたらとこの曲ばかりやられたことがありましたけれどそのうち何個か聴きましたがあまり印象に残らず。翻ってこの日のブルックナーはいい演奏で好印象となりました。あまり大きくない体で思いっきり歌いまくるハーディングはすごい。
まずひとつ、彼自身はこの曲の構造をほとんど意識して振っていない。しかし結果は圧倒的な構築美となっていたということです。
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それはなぜかというと、ひとつとしあるのはテンポをほとんど動かさない。3個の主題の経過句では次の主題に持っていかなければならないので多少の動きは見られますがそれ以外は圧倒的なスローのインテンポ。でも、わが道を行く頑固なインテンポでは全くありません。第3楽章を聴けば一耳瞭然です。圧倒的に歌いまくる歌の連続です。本人の声の出具合もものすごいが、とにかく弦が分厚くむせび泣くというか、このような力感のある歌、節回し、もっというならインテンポのパースペクティヴ。音の出し入れがやや作為的なところがみられるものの、このような深彫りされた曲想をインテンポで突き進むには、歌いまくりしなければただの棒になってしまう。ハーディングの棒は圧倒的であり、特に弦とウィンドの見事なさまは指揮棒がボウイングのごとき動きで出てくる音もまさにその通り。
一方、室内楽的な美しさもお見事。ウィンドなどへの気配り、結尾部に至るまで微にいり細にいるまで入念な音のつくり、美しく透明。ブルックナーでははずせない巨大サウンドとは別の部分での妖しさ。この対比の明確化が自然に出てくるのでくっきりと縁取りされたブルックナー構築美となっている。力強い美しさといった言葉のレトリックではなく美しさが純粋に表現されていた。
このような流れと響きが充満している。第1楽章はハーディングに言わすと少し中途半端に空中浮遊する音楽だと言うことかもしれない。第2楽章の思わず軽やかなトリオの歌、第4楽章の蓄積主題の自然放出。これだけのものをプレイヤーから引き出す才に感服。
ブラス・サウンドに関してはどこに力点を置いて、どこに持っていけばいいのかそこらへんはこれから解決されるでしょう。ブラスも歌の方向にしていくのかどうかということですね。
今日のブラスに歯切れの良さは聴かれませんでしたけれど、プレイヤーのせいだけということもない。ワグナーチューバはじめあれだけの物量のブラスセクションです。コントロールは難しいでしょう、100パーセントの筋道とは言えませんでした。例えば第4楽章のコーダはどこからなんだろうといういつもの思いはちょっと横に置くとしても、再現部第3主題に覆いかぶさるように突如出現する第1楽章第1主題の炸裂音。ここをキメルのは簡単ではありません。とくにハーディングのこのような解釈だとより困難かもしれない、コーダ開始ととるか、予兆とするか、むろん予兆という時それはコーダ局面での全主題同時出現の予兆という意味合いを感じさせてくれるのかといったあたり。ブラスに響きの美しさがもっと磨かれていれば、第3主題とは別の歌、湯気の出るようなブラスの響きが聴かれたかもしれません。いずれにしてもここらへんこれからですね。
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第1楽章:16分
第2楽章:15分
第3楽章:30分
第4楽章:25分
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おわり

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