またまた出ましたXRCD24フォーマット驚異のCD。
これを聴いていると、オーケストラの腕も、録音マシンも、録音技術も、なにもかも全部、昔の方が優れていたのではないのか。そのような気持ちにさせられる。
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リムスキー=コルサコフ作曲
・交響組曲「シェヘラザード」
・歌劇「サルタン皇帝の物語」より
行進曲、熊蜂の飛行
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アンドレ・プレヴィン指揮
ロンドン交響楽団
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録音1968年
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XRCD24
24ビット・スーパー・アナログ
(CDプレイヤーで再生)
価格3,300円
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約40年前の演奏だが、オリジナルマスターテープを使用している強みがある。
このシリーズはXRCD24という24ビット相当の音が普通のCDプレイヤーで再生可能ということで、今まで何点か紹介してきたが、このプレヴィンにも圧倒される。
オーケストラのサウンドは言うにおよばず、空気感、ホール感がやたらとしばらしい。
この音が、この空間で鳴っているのだ、という実感が耳に取るようにわかるのだ。
シェヘラザードの光輝くサウンドの素晴らしさは、ピアニシモで音が消えいるように終わると、その録音テープも終わるわけだが、そこではじめて空気が切れる。妙な言い方だが、オリジナルテープに収録されていた空気感というものがあり、それが音楽の間、ずっと漂っている。空気に乗って音楽が鳴っていた。それがテープの終わり、または編集の終わりのところですっと消える。そのときはじめて音楽は空気に共鳴していたのだ、といまさらながら認識するのである。ふう、思わずため息が漏れる。
当時のプレヴィンの音楽的解釈はどのようなものであったのか知らないが、シェヘラザードという曲を観念的に解釈し表現するのではなく、光輝く音にするにはオケ・バランスをどのようにすればよいのか。あえていうとそれが当時のプレヴィンのこの曲に対する解釈ではなかったのか。
驚異的なサウンドは満潮のようだ。月の光にキラキラと照らされた海の波がおもてうらになりながらたわむれている。なんと素晴らしいサウンド、そして音楽。
サルタンの熊蜂の飛行がまたすごい。やっぱり昔のオケの方がうまかった。作為的でない音楽の陰影が自然な形で表現出来ている。だからこんな一分半の曲でさえ珠玉のような何ものにもかえがたい音楽になっている。
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SACDやXRCD24で聴いてしまうと、同じソースの普通のCDは聴けなくなる。あまりに音が違い過ぎる。CDの進化ととらえるか、このメディアの究極のあたりに近づいてしまったのか。
昔、カセットテープは高性能を目指し、20年ぐらい前に最高品質のテープが出来上がってしまったと思う。あの頃の頂点時代のカセットテープというのは今でも劣化することなく平然と聴いていられる。SACD、XRCD24は録音メディアではないが、なんだかあの頃のカセットテープを思い出してしまう。CD形態の究極のサウンドに近づいてきたのだろうか。
おわり
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