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メトロポリタン・オペラの2010-2011シーズンプログラムが発表されております。このシーズンも賑やかなものになるでしょう。
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【ニュー・プロダクション】
ラインゴールド
ボリス・ゴドゥノフ
ドン・カルロ
トラヴィアータ
中国のニクソン
オリー伯爵
ワルキューレ
【レパートリー・プロダクション】
ナクソス島のアリアドネ
アルミーダ
ボエーム
カプリッチョ
カルメン
ホフマン物語
コジ
ドン・パスクヮーレ
西部の娘
アウリスのイフィゲニア
ランメルモーアのルチア
魔笛
オルフェオとエウリディーチェ
ペレアスとメリザンド
スペードの女王
リゴレット
ロメオとジュリエット
シモン・ボッカネグラ
トスカ
トロヴァトーレ
ヴォツェック
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ジェイムズ・レヴァインがこのオペラハウスで最初に振ったオペラがトスカ。1971年6月5日のことです。それから長い年月を経て次シーズンで40年になるというわけです。音楽監督になったのは1976年ですがどちらにしても長い。これほどのオペラ人間もざらにはいないし、ニューヨークのオペラ好きから愛され続けた棒振りもいない。天性の抜けるような音楽、そしてずぶずぶにはまったワーグナーでさえいつでも抜け出せそうな清らかさ。
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このシーズンの注目はリング・サイクルのニュー・プロダクション。ロベール・レパージュの演出です。2010-2011シーズンはラインゴールドとワルキューレ、翌シーズンがジークフリートと神々の黄昏。前回のプロダクションはオットー・シェンクの演出で、1986年9月22日の月曜日の夜8時に始まったオープニングナイトは85ドルのパルテール席に忍び込み何が何だかわからないまま消防車が待機していたというフィナーレの炎と煙だらけのハウス、そこに妙に清らかに鳴り響いた最後のピアニシモ。シェンクのプロダクションはこのワルキューレから始まって4シーズンかけてリング・サイクルしたのだった。
今回は時代の流れなのか、2シーズンでニュー・プロダクションを完成させるようだ。そしてそのあとは全部まとめて一気に敢行。
初台の新国立劇場でも再演とはいえ、2夜ずつ2シーズンでやるわけだからこれはこれですごい。初台の2001、2002、2003、2004、2009、2010は記憶に残るリング・サイクルではある。このあと一気に4夜できれば、それこそ神々も降りて来よう。
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メトの方は、昔みたいにジミーが一週間に5回振るとか、土曜マチネーの昼夜振るとかといった無尽蔵のエネルギーも少しばかり枯れてきていてほかの実力者があらわれている。そこらへんはまた別の機会に。
それでもワーグナーは手放せない。彼が振るしかないのだ。バイロイトで閃きのパルジファルを何度か振るうちにワーグナーの経過時間はどんどん長くなり、カミタソのプロローグ+第1幕なんて2時間15分ぐらいまでいってしまったわけだが、味わい深くてこくのありすぎるワーグナーがレパージュのプロダクションとどう折り合っていくのか観所聴き所満載。
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グルックの演目が二つあるのも注目。
イフィゲニアでは、スーザン・グラハム、プラシード・ドミンゴなどがアナウンスされているが、ドミンゴは歌えるのか、ちょっと心配なところもあります。
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いずれにしても、エンタメのまちマンハッタン、それに流れそうないつものメト。山とあるエンタメの一つにしか過ぎないオペラ。娯楽の一つ。それにしても、この豊富なプログラム。1シーズン住めば極楽も天国になる。
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メトも新国立も両方ともに素晴らしいですよね。
ネトレプコはメトで数年前にイ・プリターニでブレークしたと思います。ボエームをテレビでちょっとみました。取っておけばよかったかも。
彼女はシリアスでありながら割りとネアカな感じがいいですね。