河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2227- ショパンPC2、ユジャ・ワン、ブルックナー7番、MTT、サンフランシスコ響、2016.11.22

2016-11-22 23:50:07 | コンサート

2016年11月22日(火) 7:00pm NHKホール

ショパン ピアノ協奏曲第2番ヘ短調  15′9+8′
ピアノ、ユジャ・ワン
(encore)
シューベルト(リスト編) 糸をつむぐグレートヒェン  3′

Int

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調 (ハース版) 21′21′9′12′

マイケル・ティルソン・トーマス 指揮 サンフランシスコ交響楽団


前日のサントリーに続き、同じ組み合わせで今日はNHKホール。プログラムは前の晩とは全く別。

ユジャさん、今日はピンクのシースルーのロングドレス。例によって背筋がすべて見える大きく割れたドレス。歩きにくそうなのは毎度のハイヒール。
リサイタルだと、前半後半だいたいみなさん衣装替えますけれども、オケ伴の協奏曲一本だとそういう楽しみは我慢ですね。今思うと今年の横浜でのリサイタルはかなり大胆で素敵、もちろん演奏もスーパーなものでしたね。

2179- ユジャ・ワン、ピアノ・リサイタル、2016.9.4
2181- ユジャ・ワン、ピアノ・リサイタル、2016.9.7


ショパンの2番コンチェルト。コンパクトで美しいアンサンブルの伴奏に乗って、やや細めのキラキラ光るようなピアノサウンドが奏でられる。指を突き立て掌と鍵盤との間に結構な空間。指力(ゆびぢから)ありそうですね。フリッツ・フォン・エリックのアイアン・クローを思い出す、ピアノの方が吸い寄せられていく感じ。まぁ、ピアノも本望だろう。
この作品のスコアは見たことありませんけれども、近くで観ていると、両腕が同時に同じ方向に動いていくパッセージが多いですね。両腕同方向フォルテ弾きは技が解放されたようなそう快感あります。また、弱音系の滴るフレーズの右手弾きの音価が正確で山の尾根にいるようなバランス感覚、指のツイストで音色まで少しずつ変化するようなカラフルな響き、これもあれも素晴らしい。透明なガラス細工。
全体フィーリングとしては、自分の感性からの発露。これが彼女の魅力ですね。自分を信じ切ってプレイできる、こうゆうところは凡人ごときからは羨望の眼差し。説得力ありますしね、魅力的なピアニストです。
ということで、あっという間に時間が過ぎていく。絶品の30分。
伴奏となるオーケストラのオタマジャクシは、素朴に過ぎて際どいもの。シンプル過ぎる。
なんだが、
サンフランシスコ響の伴奏味付けがまことに良い。MTTは室内楽的な響きを大切にしている。オケコントロールが抜群でハーモニーバランスも最高です。このピアノにしてこのアンサンブル。惚れ惚れする伴奏というのもアレですけれども、美しいサポートでした。昨日も書きましたけれども、MTTのオケコントロールは抜群で、プレイヤーのほうも納得づくのもので双方のやる気方向が一致、いわゆるシナジー効果抜群。

この日の公演はNHKの音楽祭という複数の来日オケ団体を点でピックアップしたような祭りの一環。前にせせりだしたステージのフロントにお花がたくさん。最前列の方々、これではピアノ見えないんじゃないのかしら。


後半のブルックナーは見事な音響バランス、そして作品構成の造形感が極めてパーフェクト。フィナーレ楽章の展開不足を全く感じさせない見事な演奏でした。
Detail of duration at ab
第1楽章     21
提示部1s+2s+3s 3+3+2
展開部      5
再現部1s+2s+3s 2+2+1
コーダ      3

第2楽章 21
A  4
B  3
A´  5
B´  2
A´´  7

第3楽章 9
スケルツォ 3
トリオ   3
スケルツォ 3

第4楽章 12
提示部1s+2s+3s 2+2+1
展開部      1
再現部3s+2s+1s 1+2+2
コーダ      1

3,4楽章を足すと1,2楽章それぞれと同じレングスに。聴後感も全く同じでした。時間の流れを構成に置き換える俯瞰処理。全てが一貫した演奏でした。
第2楽章の贅肉無し演奏は作品の造形感を特に際立たせたもので、秀逸な演奏を後押し。

演奏スタイルは昨晩のマーラーと同様な趣きで、スタティックです。マーラーでは演奏ヒストリー的にはオールドに属するものかなと感じましたが、ブルックナーでは違いますね。スタティックなものはブルックナー作品に本来内在しているものと思う。
MTTの棒はパッセージにメリハリをつけたもので、主題推移とか部の進行の変わり目でテンポの激変は無いながらきっちりとギアチェンジしていく。ピッタリと揃う。指揮ぶりからそれはもう、明白で、その棒を完全に理解しまくっているプレイヤーたちの息の揃い具合がまことにお見事。
第1楽章コーダの弦トレモロが地響きを立てるような演奏ではなくて飽くまでも全体バランス重視ですね。弦は曲全体にわたり機能的な技が昇華して結実したような美しさがある。特にそれぞれの第2主題の流れるような弦の美しさはお見事。照射されたような明るさもいい。
出番がまだら模様のウィンド、ブラス。これらのコンセントレーションがものすごいですね。休止が続くあたりでの集中力が手に取るようにわかる。恐いぐらいMTTを凝視していますな。これあってのハイテンション演奏ができるわけです。まぁ、ブラスセクションはMTTの言うとおりに演奏するのが最善の策と思っているふしもある。特にこのような作品の場合。
それから音の鳴りが、直進性が勝るオケのように感じるので、この横広芸能ホールではその力が十分に発揮出来るところまではいかないようなところがあって、タップリではなくスキニーという感じ。

整然としたフィナーレ、コーダサウンドが済んだ後に残るものは、一つの作品がパーフェクトな形で出来上がっている。ブルックナー作品のお見事な演奏。
ブルックナーの作品とオーケストラを聴く醍醐味、両方大いに楽しめました。
ありがとうございました。
おわり

  


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