1991年のパリ管来日公演のことを書いてます。
425-、426-、427-をご覧くださいませ。
特別プロのファイストの劫罰のことを書きました。
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今日はAプロのこれ。
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1991年11月3日(日)7:00pm
サントリーホール
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ベートーヴェン/交響曲第5番 運命
ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番 革命
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セミヨン・ビシュコフ指揮
パリ管弦楽団
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なんだかトンデモなプログラム・ビルディングですね。
両方とも休憩後に置くような曲ではありませんか。変な感じだ。
ベートーヴェンの方が編成が小さいので、華々しいショスタコを後半にしただけ?
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コンサートの第一音が運命というのはオケもいまひとつノリが悪いのではないか、などと始まる前は思ったりした。
でも、パリ管の横滑りするようなややメタリックなサウンドが艶やかにきらめくとき、なるほどドイツとは明らかに違うヨーロッパがある、などと感じたりした。ビシュコフの解釈というよりパリ管の音楽なんだなぁ。これが。
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決して踏みはずすことはなく、むしろオーソドックスでさえある。
音圧バランスは重心が重いものではなく、各セクション群が並列なバランスで響く。
だから、というか、むしろ、音色バランス、ハーモニーが、楽器そのものの音の強弱があるため、かなり異色の響きになっているのは否めない。
でもこのスタイリッシュな演奏、忘れらないね。
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ショスタコはどうだったのか。当時ビシュコフ、売りの曲だったはずだが、実際現場で聴いてみると、いたって普通の演奏。
無理に肉厚にしようとしているようにたまに感じるのだが、パリ管にあんまりそのへん無理させない方がいいんだ。きっと。
スタイリッシュなパリ管に無理なハーモニー協調型演奏を強いても、良いものがでてくるというわけではない。
パリ管の素晴らしさは、やらせておいた方が、もっとよく出る。
ロシアとは違った強烈なビブラートがやたらと美しい。ソロ楽器が出てくる箇所は特にすばらしく、個人技を心おきなく堪能できる。
ヘビーなタコ5が、美しく空中分解されて再創造されて清らかによみがえり、興奮はクライマックスをむかえる。
(続く)
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