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2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
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2010年11月27日(土)6:00pm
サントリーホール
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≪ショパン 生誕200年≫
ショパン ピアノ協奏曲第2番
ピアノ、ダン・タイ・ソン
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ブルックナー 交響曲第8番(ノヴァーク版第2稿)
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ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団
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いまどきブルックナー1曲でおしまいというのがはやりで、このような長めのプログラミングはわりとめずらしい。
11月12月は在京のオケ、何故か知らんがブルックナー8番だらけ。全部聴く必要もないが、ちょっと前に高関さんという人のハース版の8番を聴いた。ちょっとむずかしいと思う。
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この日のスダーンさんはどうなんでしょう。この指揮者はたぶん初めて聴くような気がします。昔はスーダンって呼んでたのかな?英語読みなら、ヒューバート・スーダンで決まりだと思いますけど。でもオランダ人ですからね。
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それでブル8ですけれど、その前にこの指揮者の動き、ブルックナーというよりもまるでチャイコフスキーとかプロコフィエフでも振っているような仕草棒なんです。ナッツクラッカーとか思い浮かべてみてください。あの棒でブルックナー振られたら出したい音も出てこないのではないか、そんな感じです。
外見は中身ほど大切というわけではありませんので、とりあえずはなるべく上の方を眺めながらの鑑賞となりました。
簡単に言うと、第1,2,3楽章はプレイヤーも指揮者も流れが悪く、おそるおそるやっているわけではありませんが、ノリの悪い演奏に終始してました。それが終楽章の提示部第3主題あたりからようやくノリはじめ、バランスとか縦の線とかいちいち気を使わなくてもフレージングがきれいに流れはじめました。この第4楽章はよかったと思います。演奏に対する安心感みたいなものが出てきましたのでね。ですので、翌日同じプログラムがあるかと思いましたが、きっと頭からいい演奏が聴ける確率が高いと思います。指揮者とオケともに慣れていない感じでしたからね。
いくら技術的に相応にこなしていてもそれがいい演奏というわけでもなく、今回の例で言うとぎこちなさを一度解消してから、もう一度演奏してほしい。通しやってたんですかね。
タイミングはだいたい以下
Ⅰ:16分
Ⅱ:14分
Ⅲ:22分
Ⅳ:21分
トータル:73分
一番深みがないのがブラスが強奏するところ。ただ、バーンとベニヤ板が上の方にしなったような、トクホンをお腹に貼ったような、なんとも味気なの無い深みの無い音。
ズッシーン、とこない。
これ、ブルックナーの音の出し方慣れていないからなんですね。バーンとくるから弦やウィンドがかき消され、ブラバンモード。
ズッシーン、という出し方は、まわりの、気配の音、を聴きながら、ギリギリどこまで待てるかみたいな感じの究極ポイントで下方から泉が湧き出るようにサウンドが上方に広がる。感覚の問題だ。指揮者がたぶん慣れていない。ヴァントが昔、N響でブルックナーを振っていたときは、完全に、この作曲家の曲を移植しに来たという感じだったのだが、スダーンにそのような具合のかけらもない。自分本人がこれから作り上げていくか、とりあえず横においてしまうのか、といったあたりが選択肢ではあろうかと思います。
フォルムに関しては、フォルムの前に深みがない。そんなところです。
第4楽章はよかったので、再度言っておきますが、翌日の演奏はおそらく良かったと思います。
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プログラム前半のショパンの第2番はメロディーだけ聴いているといつの間にか頭の中が第1番と第2番をさまよったりしてしまいます。通奏低音だけのようなオケ伴など飽くまでもピアノ個体を聴く曲でしょう。
タイ・ソンは見た目はあっさりしたものですが、指の見えるような近くだと、両腕を必要以上に上げ下げせず比較的軽めのタッチで流すように弾いていきます。さらっとしたもんです。
結果、ショパンの美しさが際立ったものであることを理解できる。作曲家の音を妨げない。綺麗な並びのオタマと美しさが沁みる演奏でした。
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