河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1006- シルヴァン・カンブルラン シェーンベルク ペレアスとメリザンド 2010.4.26

2010-05-05 00:55:33 | インポート

2010426()7:00pm

サントリーホール

492回定期演奏会

≪常任指揮者就任披露演奏会≫

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ベートーヴェン 序曲コリオラン

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マーラー 交響曲第10番よりアダージョ

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シェーンベルク 交響詩ペレアスとメリザンド

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シルヴァン・カンブルラン指揮

読売日本交響楽団

マーラーのアダージョは線が細かったが、シェーンベルクはなんとも言えないデリカシーがただよっていた。

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シェーンベルクのペレメリを生で聴いたのは初めてかもしれない。一度聴いたような記憶もあるが調べないとわからない。

シェーンベルク初期の巨大な編成による巨大な曲だ。グレリーダーの歌を取り去り、さらに上着一枚ほど脱いだだけのような大規模編成の曲。浄夜の弦楽版に巨大ブラス、ウィンドを貼り付けたようなパレット。耳だけでは分析不可能な細やかな音の動きと巨大な嵐の響きのあやが素晴らしいの一語に尽きる。

交響詩とはいえ40分オーバーの単一形式というよりも、ソナタ形式の4部作。第2部スケルツォ、第3部の緩徐楽章、それらを挟んだ第1、4部のソナタ形式。

ドビュッシーのペレメリには遠くパルジファルの響きを勝手に感じたりしているのだが、このシェーンベルクはどうだろう。浄夜の淵があるようだ。どっちかに転んでしまいたくなるような。

ドビュッシーのペレメリは5月21、23日に新日フィルが演奏会形式でやるのでそれを楽しみにしよう。

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シェーンベルクは12音階イメージが染み込んでしまっている音楽ファンが多く、たしかに音楽歴史のドラスティックな展開(転換)局面を形作ったのはこの作曲家なのかもしれないし、その部分ではターニングポイント的重要性はあるが、そこだけみていては面白さ素晴らしさを全部理解したとは言えない。あまりに魅力的な音楽がたくさんある。

いまさら再発見でもないが、再発見というのは聴き手本人自身のなかの出来事であって、それはいつでも待ってくれているものであって都合の良いものかもしれないが、でもちょっとこの作曲家の魅力に深く突っ込んでみてもいいと思う。

カンブルランの棒は、曲を凌駕するような素晴らしさであって、体に巻きつく棒、腕の動き、指示、すべての面で曲を知り尽くしている。自家薬籠中の物がいつもそこにあり、この種の音楽を十八番にしているその棒の形が歴然と見事に決まっているとしか言いようがない。

細かいアンサンブル、極小ハーモニー、見事な音色バランス、きっちりそろえた縦の線、これらを明確に意識し指示する棒、そしてこのようなことの繰り返し、積み重ねが練り上げられ巨大化したサウンドの見事さを導くだけでなく、深く理解できる共鳴できる音楽ストーリーを構築していく。一聴するとわかりにくい音楽を分解してから組み立てていくというのはこのようなことをいうのだろう。指揮の形が曲を凌駕する勢いであった。見事な棒。カンブルランの得意分野ではある。

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前半2曲目のマーラー10番のアダージョ。これだけだと問題作でもなんでもなくなってしまうが、とにかく、異常に細かいデリケートな響きの表現に終始。オーケストラ編成のわりに縦の線の切り口で言うと薄い響きが多い。思わずこのオーケストラの響きが薄くなってしまったような、軽くなってしまったような居心地になってしまった。

終結部のブラスによるオルガン的響きを導入にしたコーダの展開は見事だが、全体的には拡散的印象が強い。どうせなら日をあらためて全曲版を聴きたい。前後対称な楽章形式の構造音楽を他人の作とはいえ、どうしてもカンブルランの棒で聴いてみたいものだ。

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前半一曲目のコリオランは、なんでやったのかわからない。

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この日はいろいろと企画、イベント日のコンサートでした。

まず、ミスターSにかわって、シルヴァン・カンブルランが読売日響に就任するということで常任指揮者就任披露演奏会になっている。この点、お見事。

マーラー10番のアダージョは、マーラーイヤーですのでそれにひっかけたもので、どのオーケストラでもそうでしょうがこれからさんざん聴かされることになるわけです。この日の10番はアダージョ楽章だけであり、カンブルランの棒ももう一つであったような気がします。

後半のシェーンベルクは、カンブルランの企画もの「3つのペレメリ」の一環。この日のシェーンベルクに続いて、フォーレ、ドビュッシーが当然、演奏されることになる。

過去ログに以前聴いたカンブルランの演奏のことを書いてますのでよろしければ。

20061215日サントリーホール

メシアン作曲トゥーランガリラ交響曲

シルヴァン・カンブルラン指揮読売日響

ここ

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