この前、ステーキと焼肉を勘違いし、ステーキを喰らうつもりで銀座にでたのだが、良く聞いてみると、ステーキのことを冗談で焼肉と言ったのではなく、本当に焼き肉が食いたかったのだそうだ。
ここらへん、携帯メールではいま一つ微妙なニュアンスの受け答えがすれ違いになることがある。いくら親しい人間でも。。
気をつけなければならない。昔それで失敗してるしね。。
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それで銀座で待ち合わせてステーキではなく焼肉を喰らうことになったのだが、銀座にはろくな焼肉屋が無い。焼き肉の街ではないのであたりまえだ。
それでも全然ないということではなくて、選べない数少ないお店が点在以下で存在している。
焼肉を食いたい、といったら絶対焼肉なわけで、ほかのものは受けつけないし、なにしろ食べるイメージが出来上がっているので、その変更はかなわぬものらしい。
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ということで、並木通り8丁目あたりにあるここに行ってみた。
飲み物メニューを見ても見なくてもビールがスタートとなるわけだが、次に焼肉のアラカルト・メニューを見てみた。
深遠すぎる淵をのぞき見る。
見なければよかった。
牛タン3700円ぐらい、
上カルビ3500円ぐらい、・・・・
ぐらい、というのは目がクラクラして値段のことを忘れてしまったから。
それでこの3700円の牛タン。7枚なんですね。カルビは6個なんですね。この値段で。。
さすが銀座、とは全く思わなかった。びっくりもしなかった。あきれ返ることもなかった。
ただ単に、場がしらけた。。
いわゆる、馬鹿くさい、という感覚。
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喰らってみたら確かにいい味ではあったのだが、牛のベロのコマ切れ7枚になんで3700円も払わなければならないのか。シラケドリも飛ばない。。
こんなものになんでこんな金額を払わなければいけないのか。全く理解できない。
ものにはものそれぞれにふさわしい限界値というものがある。
1本500円の鉛筆が12本はいっている鉛筆ケースは買わんだろう。
それに、焼肉というのはガツガツとたくさん喰らうからうまいという面もある。
食いまくるからうまいのだ。
それがこの値段をみると胃が縮んでしまう。
ほんと、しらける値段。
カネを払って喰らっている方がスタッフに含み笑いでもされているような感じだ。
「こいつら、こんなものに、よく払うよ。」などと、顔には書いているような気がする。
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昔、六本木に防衛庁があったころ、その近くの行きつけの焼肉屋にボトルまでキープして夜な夜な肉ばかり喰らっていたりしたものだ。
それで22皿ということがあった。
22皿というのは、河童の皿ではなく、タン塩22皿平らげたということになるわけだが、牛のベロの薄造りなんてぇのは22皿ぐらいたいしたことない。
あんまり毎晩喰らうのでいつも半額だったが、とにかく焼肉というのはこのようなスケール感で喰らうものなのだ。
値段もそのような喰らい方にふさわしい価格でなければならない。
7枚で3700円ではほとんど話にならない。
なんでこんな値段設定がまかり通るのかわからないが、金を出す客連中もいるのだろう。
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それで、銀座のお勘定はたまに変なことがある。
ちょっと前に日本料理屋さんに行った時のこと、例の如くアラカルトで頼んでいたのだが、値段表からして、絶対5万円超えるよね。などとひきつった笑いを絞りだしながらお勘定を待っていた。そしたらきた請求額が3万円もしなかった。
どのような計算方式なのか訊ねてみようと思ったのだが、変に訂正されるとやばいので黙っていた。二人ともびっくりしないのがコツなんですね。
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焼肉もそんな感じの請求だった。皿数は10枚以上いったはずだが、飲み物含め合計で3万円割れだった。全く理解できない値段だったが、これって気のせい?
銀座で飯を喰らうときの矜持としては、自分で使うと思われる最大金額を持ち、覚悟をきめて、飲み食いすれば、案外安くすむかもしれないということだ。
ただ鮨屋では通用しない。2人で5万は必ずいる。これおいしいですね、などと調子づかせると、6万円越えなどもあるから気をつけなければならない。
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それで、と。
焼肉のあとは歯が抜けそうなガムではなく、場変えしてバーでうがいをして帰るのがよい。
こくのあるラガブーやイタ系のグラッパなど、妙にマッチしたりするから不思議な飲み物だ。
おわり
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