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前回936-のブログでデュトワ/N響の演奏会2009.12.5のことを書いた。そのときにショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲第2番がまるで祝典序曲のようだと書いてみて、ついでに河童ライブラリーを探してみたら、そのようなことを暗示するCDがでてきた。
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ショスタコーヴィッチ/祝典序曲
ショスタコーヴィッチ/ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番
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アンドリュー・リットン、ピアノ
アンドリュー・リットン指揮ダラス交響楽団
1998年録音
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アンドリュー・リットンは日本ではあまりぱっとしないが、1994年から2006年までテキサスのダラス交響楽団の席にあって、大変に素晴らしいCDを連発していた。この組み合わせのCDは30枚ぐらい持っているが、国内ではマーラーの10番全曲盤など多少盛り上がりはあったもののあまり目立たなかった。本人も日本でN響を振ったりしたが、毛並がよすぎる棒は、練習というプロセスがあまり必要でないオーケストラにふさわしいのかもしれない。
また、ピアノの腕も確かなもので、このCDでは弾き振り。ほかにも弾き振りのCDはあるが、ここでのショスタコーヴィッチの粒立ちの良い演奏には惹かれる。
日本人はクラシック音楽に関しては、商売含め完全にヨーロッパ志向というか、ヨーロッパしか向いていない。この文化の発展の根っこがそうなのだからいたし方がない面もあるとは思うのだが、もっとアメリカの方向を見てもいいのではないか。このオーケストラを知らないというのは、ビックファイブにさえ関心がない日本人だからしょうがないか。アメリカの音楽文化を知らないのは現代では、大欠落だと認識して。早く気がついてほしいものだ。
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それでこのCDだが、収録曲の並びまで完全に意識した作りであることは間違いない。祝典序曲で、ショスタコーヴィッチ独特の運動、回転する力を魅せておいて、それが耳から離れる前にピアノ協奏曲第2番へそのまま進む。作曲年次が近いせいもあるのだろうが、音楽運動がよく似ている。だからこのようにリットンは並べた。しかも自分の弾き振りのピアノで。
両曲の響きは親近性のあるものだが、ピアノ協奏曲の方はブラス無しの編成(ホルンは入っている)。そのためすっきり感は増している。
このCDは演奏会のプログラムのような感じで、3曲目に配置された第5番は後半の曲目ということだろう。
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ショスタコーヴィッチ3連発のCDで中身の良さに加えコストパフォーマンスも抜群。このCDはデロス・レーベルなのだが、リットンはピアノ協奏曲第2番をハイペリオンにもいれている。ハイペリオンの方はピアノが自身ではなくマルク・アンドレ・アムラン、オーケストラはBBCスコティッシュ交響楽団で2003年の録音。
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