2015年12月15日(火) 7:00pm サントリーホール
ルーセル バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」第1組曲、第2組曲 17′、20′
Int
ブルックナー 交響曲第0番ニ短調 (ノヴァーク版) 15′13′6′10′
マルク・ミンコフスキ 指揮 東京都交響楽団
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0番は1番と2番の間の作品。
2番とは桁違いにうぶな曲とは思いますが、ミンコフスキの作品解釈は、このあと2番から9番までの素晴らしい曲があるのだよ、それらを知っているよね、そのうえでこの0番もこう鳴るべき曲なのだ、と言っているような素晴らしいものでした。例えば第2楽章の大団円と言いますか、大きく弧を描く様なスケールの大きな弦の響きはまるで4番とか7番でも聴いているようなおもむき。早い話2番以降の響きの世界を体現している。
全体に力感があり、大きなフレージング多用で、また強弱の落差も大きい。弱音フレーズでの細やかな音の表現まできっちりと。チェロとベースの雄大な響きは特筆すべきものでした。聴いていて脊髄に快感が走りました。スケルツォのブラスセクションはバリバリ鳴らして相変わらずドライフラワーみたいなもので深みがないが、表面的なダイナミズムの世界はブルックナーの特質の一点も示しているわけでそういう意味ではそんなに悪い話でもない。
ミンコフスキはあとの曲をイメージしていてフォルムはそんなに追いかけていないと思われるのだが、後続曲をイメージすれば自然に形式感が出てきて、ブルックナーの構造はそれなりに輪郭が浮き上がってくる。
第4楽章は序奏があって、主題は2つのみ。第1楽章は3主題かろうじて見えるが、ブルックナー比率から言って、展開部は極度に短いと思われる。提示部と再現部がロング、それにコーダも。第1楽章が一番スケールが大きく、聴く方も構造の聴き応えがある。手応え十分です。
緩徐楽章の弦のうったえは素晴らしく、ブルックナー初期の作品のウエットな響き楽しめました。エンディングもものすごく印象的。ミンコフスキのナイーブな神経を見る思い。
ミスターSとはまるで別世界のブルゼロ、色々と楽しめました。
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前半のルーセルは明るい響きの曲でシンフォニーにあるようなエンジンのかかるような前進具合や、あまり瞑想しない静けさなど印象的。このオーケストラにあっている響きですね。収録して商品化できそうな曲です。
おわり
PS
ミスターS、読響、ブルゼロ
2014.10.9
2008.9.22