2021年6月19日(土) 7pm テルサ、山形
シューベルト 交響曲第3番ニ長調D.200 9-4-4-6
ブリテン
左手のピアノと管弦楽のための主題と変奏「ディヴァージョンズ」Op.21 26′
ピアノ、舘野泉
(encore)
木島由美子 桃花水 4
Int
モーツァルト 交響曲第38番ニ長調 プラハK.504 18-10-8
阪哲朗、山形交響楽団
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緞帳が、のそりと上がり、真っ暗闇の中から何か黒いものが動き出す。フィガロというよりもドンジョワールドの幕開け。この、スーパースローモーションの序奏から、何から何まで、まるでオペラ。確信犯的妙技棒で、ただ事ではない40分に迫るプラハにのけぞる。
用意周到のロング序奏、提示部リピ、展開部と再現部を束で丸ごとリピしているようにも聴こえてくる。これでメヌエットとかあったらブラ1レベルの長尺物になるわ。もはや、オペラモード満喫、フィガロ、ドンジョ、マジックフルートなんか振ったらたまらんですよね。
タップリと楽しめたプラハでした。
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ディヴァージョンズを弾くべく車椅子での登場となったピアノの主。なにもかも動きそうに無い中、ピアノの椅子に座ると全ての事が動く、音楽が肉体を支えている稀有にして不思議な世界が現れた。ピュアなブリテン全11変奏、明晰でクリア、音楽が滴り零れ落ちる。見事なものだ。
シュベ3、プラハでは棒持たずの振りでしたがディヴァージョンズで棒を持つ。オケもやっぱり伴奏越えの難儀な作品なのだろうと思いましたね。
パーカスは上手に集結。大規模な作品でした。
左手独奏ピアノを補完するようなハープ等々、それと伴奏系ラインが明確に分離している。機能的というかそれに優れた作品のように思えました。
左手で弾く、フメクラーも左サイド、きれいな鳴りが全部前に飛んでくる。聴きごたえ満点でした。
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公演初めの曲シュベ3。長い息音ハーモニーがディミヌエンドしていく中、ウィンズの小気味いいスタッカート風なアクセントが沸き立つ。活き活きとしたカウンターメロディーバランス、阪の真骨頂はいきなり1曲目からくる、鮮やかな演奏と言えよう。
以上3曲、音楽表現というものをズッシリと感じ取ることができました。
ありがとうございました。
おわり