河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1816- ノタシオン17432、ベルクVn協、郷古廉、ハイドン最後7言葉、ロト、読響、2015.7.1

2015-07-02 00:53:52 | コンサート

2015年7月1日(水) 7:00pm サントリー

ブーレーズ ノタシオン1,7,4,3,2番  3′7′2′3′2′

ベルク ヴァイオリン協奏曲 ある天使の思い出に  11′16′
 ヴァイオリン、郷古廉

Int

ハイドン 十字架上のキリストの最後の7つの言葉 (管弦楽版)
 序奏 5′
 Ⅰ6′、Ⅱ6′、Ⅲ8′、Ⅳ6′、Ⅴ7′、Ⅵ5′、Ⅶ6′
 地震 2′

フランソワ=グザヴィエ・ロト 指揮 読売日本交響楽団


ノーテーションは通常、管弦楽版だと、1432が取り上げられる。ロトは7番を加えて、17432の順番に演奏。このパターンのオケ版お初で聴きました。巨大編成の曲でメシアンがよく聴こえてくる作品、明晰クリアな響きの世界が当時の現代音楽のモードをよく感じさせてくれる。
7番は全体の4割の長さで他4曲ピースどれをとってもその倍以上のレングス、座り心地がいいとは言えない。欠番のものを混ぜ合わせて流れを作るようなスタイルが、今となっては無い物ねだりなのか。12個のうち残りの7個5-6-8-9-10-11-12も管弦楽版となれば、ブーレーズのことだから全体バランスの良いものが出来そうな気はするが。
それでお初の7番、これはその前の1番の雰囲気がブラス、パーカス等のアクセント的フレーズに感じられて前半はモードが近く聴こえる。後半に進むにつれて灰色というかメシアンからシェーンベルクに位相がシフトしていくようなおもむき。位置的にここに置くというのはわかるがちょっとその長さに比して冴えたものともいえない。ひらめきが感じられない。
全体的に読響の重心の低い、腰、骨太系の響きだが、この曲やっぱり、オケスキルも赤裸々なものになる。ブーレーズのセンスから少し乖離。ロトは微細なところの表情を濃厚にしてくるのでニュアンスは面白い。オーケストラの透明度は今一つでした。

ロトの微にいり細にいりのスタイルは後半の小編成大曲のハイドンで余すところなく全放射されました。
ハイドンの流れる音楽を全て押しとどめてアナザーワールドを創作した意思と手腕、大したものです。音楽を制止させ中空を漂うような雰囲気を醸し出した演奏、小編成ながらストリングを中心に強弱を強調、特に弱音系のところの静けさと微妙な佇まいには息をのんで聴くしかないような空気感を感じた。
七つのソナタ全てがゆっくりしたものでその中で指揮者が起伏をつけつつ音楽を漂わせる、これだけゆったりしたテンポでありながらロトの作り出す演奏にはまるで隙間がない。ずっとつながっていっているような感じで、非常にコクのある演奏。ロトはおそらく何かをイメージしながら振っていると思う。十字架上で語った言葉それ自体をイメージして振っているのか、それとも何か別のことか、抽象的ななにかか。よくわかりませんが、弛緩することなく緊張感が持続していく様は見事と言うしかない。言葉が無い作品なのに何か、あるような。
このような曲で小宇宙が出来ていくなんてすごい形成力、構築力ですよね。完結したものを再現するのではなくて、ゼロから作り上げていくように聴こえてくるあたりのみずみずしさ。味わい深い演奏でした。
と同時に、昨年のN響との第九演奏とはかなり異なるものでロトの懐の深さもじっくりと楽しむことが出来ました。

2曲目のベルク、ただルールを並べているだけではないという解説が多いが、自分に言わせると、ただルールを並べているだけの開始の継続で、引用の魅力も乏しい。曲自体面白いと思わないので熱はいりません。
聴かせることを排除しているとは思いませんが、聴き手のことを忘れてしまっている開始はなんとも処置なしと思います。
おわり