河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1289- 無声映画『瀧の白糸』溝口健二、望月京2011.8.27<ミュージックトゥデイ21>サマー・フェスティヴァル2011

2011-08-28 23:21:41 | コンサート

サマーフェスティヴァル2011 <ミュージック・トゥデイ21>


2011年8月27日(土) 4:00pm ブルーローズ、サントリーホール

無声映画のための音楽
無声映画『瀧の白糸』

泉鏡花 原作「義血侠地」
溝口健二 監督 映画(1933年)
望月京 作曲(2007年 日本初演)

尺八、藤原道山
笙、後藤真起子
三味線、辻英明
打楽器、池上英樹
ハープ、篠崎和子
ヴァイオリン、野口千代光
エレクトロニクス、有馬純寿
指揮、杉山洋一


溝口健二の無声映画、水島友(入江たか子)、村越欣弥(岡田時彦)両主演の映画に望月京が音楽をつけた。
映画自体がかなり饒舌、これに音楽がプラスされと饒舌を越えたものすごい迫力。そして圧倒的緊張感、さらに緊張の頂点で音が消える。見事な音楽付けと言わざるを得ない。
ストーリーテーリングとしても原作よりも劇的な肉付けとなっている。あの展開だと二人とも自死しか答えが残されていないだろう。世の中に知られずこのように咲いて散っていくはかなくも悲しい人間模様はたくさんあるはずだ、このように映画になって知られることになるだけでも知られずの人間たちよりは少しだけでも心が慰められるというものかもしれない、もっとも実際の出来事であればの話ではあるが。
とにかく、もしかして声にならない無声の方が観るほうも深くのめり込めるような気がする。発せられる言葉がないので観ている方は全神経を映画の方に集中しなくてはいけない。心地よい緊張感が持続される。
音楽は大変な迫力と微妙な音使いの対比が素晴らしい。駆ける部分でのタララッタラ~という威勢のいいリズムが、別の局面では心臓の鼓動のような緊張感へと位相がダブる。
また、日本の楽器の特色というか、楽器そのものが風景や心情を表しているような色彩感覚、イルミネーションがあり、もはや何も言うべき言葉もみあたらない。

無声映画のフルヴァージョンのようなものは初めて見ました。1時間40分あまりかかる長いものでしたがストーリーの面白さが最後まで観客の心をつかんでいる。空間には望月のうねる音楽だけが響き渡り、心模様はなにかさえざえとしたものさえ感じさせてくれるような脳裏に刻まれる出来事となりました。大変に素晴らしい映画と音楽、ありがとうございました。
おわり