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1946年3月17日(日)3:00pm
カーネギー・ホール
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ブルックナー 交響曲第9番(in the original version)
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ベートーヴェン 序曲、レオノーレ第2番
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ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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当日のプログラムの順番も上の通りです。放送時間の関係で変則なのか、ワルターのユニークなプログラム・ビルディングなのか、おそらく前者と思われます。
七、八年前に正規版のCDがでてから音の割には何度か出回っている音源。
1940年代、当時の日曜午後3時は、CBS(Columbia Broadcasting System)による生放送中継で決まり。
全米に放送されているのですが、ニューヨークなら生放送、ほかのところは州(放送中継基地)により後日の放送。ですので音源の可能性としては、後日放送用の録音音源とあとはプライベート録音ということになります。商用音源としては前者となるでしょう。
掲載してあるプログラムは、CBSによる全米放送用のプログラム(!)です。時代的に放送すること自体が貴重で、また、ひとつの教材ともなっていたようでこのような丁寧なプログラムがあるわけです。カーネギーホールのオフィシャル・プログラムは別にあります。
なお、この9番の版についてはin the original versionという微妙な表現になっておりますが、Orelオーレル教授版ということで、詳細はこのプログラムのなかに書かれておりますが割愛します。
2枚目の写真は当時つまりロジンスキー時代のメンバー表です。音楽監督がアルトゥール・ロジンスキー、客演指揮がジョージ・セル、ブルーノ・ワルター、ハワード・ハンソン、イゴール・ストラヴィンスキー、というなんだかとんでもない時代でしたね。
それでメンバーのコンマスは、ジョン・コリリアーノ。今の著名な同姓同名は息子です。ちょっとそれますが息子のCDを紹介しておきます。
ヴィオラはウィリアム・リンサー、チェロはレナード・ローズ、フルートはウンマー、オーボエはゴンバーク、トランペットにヴァッキアーノ、ホルンにはすでにヨゼフ・シンガーの名前が見えます。くらくらするようなメンバー表ですが、だいたいこの体制でバーンスタイン時代にこのあと突入していくのですから、それはすごい時代でした。
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音源はとりあえず3枚紹介しておきます。
1枚目は、MUSIC&ARTSからのもの。2003年に発売。Previously unreleasedとクレジットされていて、世間一般的には、初商用リリースとなります。一時間余りの短いコンサートですので2曲とも収められております。ノイズカット等編集した人の名前まで明記されております。ここらへん、MUSIC&ARTSのまめなところですね。ライナーノーツも非常にコアでマニアック。23ページにおよぶもので、ワルターの棒によるブルックナー9番の6種の音源タイミング比較表などの記載もあります。どなたか訳した人がいたら教えてください。いなければ自分でやります(笑)時間のある時に。
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2枚目。これは知る人ぞ知る。見ただけでわかる人はわかる。ウィングの限りなく妖しい(?)CDです。音質的には特有の硬さみたいなものがありますが、ウィングを好きだった人は結構いると思います。例によって解説書のようなものはありませんので、何も足さない何も引かない、音で勝負といった感じ。
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3枚目は、一番最近のものとなるデルタ盤。このCDにはオーレル版と明記されておりますね。ライナーは見開き2ページだけですが非常に小さい字でこの版のことも含めてかなり詳しく書かれております。ただ、このCDにはレオノーレが収録されておりません。完全な片手落ちで非常に残念なCDです。
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