河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1122- バー日向 ひなた Hinata

2010-11-26 13:18:43 | グルメ

こちらの無知の不首尾の致すところとは言え、お釣りを御祝儀代わりにしてしまったのは、まったくもって、ど失礼なことではあった。なにしろ、御祝儀の意味は二つあるわけで、日を改め、少なくとも、開店のお祝いと永久の契りに対するハイブリッドな包みとすべきところではあった。
お祝いどきに持ち出す話でもないが、彼は僕の無二の親友が某年海の日前日あっというまに昇天したときに、落ち込んでいた僕を気遣ってくれたそれこそ少ない人物のうちの一人だった。その友の話は今日はふさわしくないのでやめ別の機会にゆずる。
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日向ひなた、いい名前じゃないですか。向、を、比谷、と替えれば彼が長く勤めたお店の名前になりますね。
彼とは、シャンテ近場のお店を退したあとしばらく疎遠になってましたけれど、この前、山野楽器で、バボラークが吹く誰が買うのだろうか不思議な新譜のエチュードのCDをゲットし、まぁ他にも、マゼールがバイエルン時代に振ったブルックナー全集とか、エイドリアン・ボールドのロンドン極めつけオタク系CD第2弾などを物色し漁ったその足で、なんだか、以前はよく金曜日仕事のあと山野楽器へ、そしてそのあといつも通り数ある日比谷バーで一番コンパクトな隠れ6号店で、ベルタを喉に垂らしながら、裏メニューの極上パスタをいただいていた頃をつい思い出し、といっても前日の祝日の23時半頃うかがったら終わりかかっていたので、では日を改めてということもあったのだが、それやこれやが脳裏を走馬灯のように走り、この日は一人で、新しくなったドアを開けたのでした。
久しぶりの6号店でスタッフはすっかり変わってましたけれど、まだ早い時間でしたので、例によって、お河童さん、バーカウンター貸し切り状態で(借り切り状態か)、その昔の、日比谷バー新宿店や渋谷店、そしてまぁ、バレルで造ったテーブルでお酒を飲んだこともあったウィスキーズに至るまでのあたりのことを、一人トクトクと喋りまくりで、スタッフもたぶん、聞き疲れ?みたいな感じになったところで、最後に、昔のスタッフの去就を訊いているうち、彼の話に及んだわけで、そうしたら、自分で新しいお店をこの3月にオープンしたということがわかり、場所はどこ?などといった野暮な質問は、このお河童さん銀座マップは皿の上にいつも乗せていて知らない小路はないなどと隠れ自負するなか、することもないと思ったのだが念の為に訊いてみたら自分のテリトリーにあらずで、でも長年徘徊していると、人間の脳は不思議なもので、まるで空中から銀座の小路を一気に俯瞰したように焼きついているわけで造作もなく、ニュートーキョーとスープストックに挟まれた小路角の2階への階段を上ることが出来たわけです。
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カウンターは五六席でほぼ一杯でしたが、一人でテーブルで飲む酒ほど味気ないものはないので、女性のスタッフに無理をいってカウンター真ん中の席に割り込ませてもらったのだが、なんだか初めてのような気がしない微妙な空気が漂うその奥でおいしいメニューを作っていた彼がでてきて、再会とあいなった。
二人で頑張っているのは見ればわかるし、そんな野暮な質問はせず(ちょっとしました。合い方が一人ずつになったタイミングを見計らってどっちからプッシュしたのかといったことを。お互い、自分がされた、といってましたけど。)、今日はおすすめのハードリカーを喉に垂らしこんだのだが、翌日も仕事ということもあり適度な量で帰路につくこととし、華金とか土曜日に再訪する旨伝え、劈頭にある通りのお勘定の払いをしてしまったわけです。
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バーでお酒を飲むときは距離感が大事といつもそのように努力はしているのですけれど生来の聞き上手が災いすることもあり、お店の人と話がヒートしてしまうことも多々あり、でも、プライベートなところまでのお付き合いは誰とも、いたしたことがなく、それはそれで一線、バウンダリーであるのかなと常日頃から思うところでもありで、などといった一見どうでもいいような話をいきなりはじめて、はずんでしまうような感じで、ずいぶんと久しぶりに会ったのだが、双方忘れるには足らなかったなにかをもっていたのだと感じるところではあった。
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僕はいろいろとバーに行くので、だいたいのアトモスフィアを直感でとらえることが出来て、まぁ、苦労も多いだろうがやるときはやるっきゃないなっ、みたいな感じで身を粉にするのも苦労をそうとも思わず出来るのは、むろんお客とのつながりを大切にしている人徳もあると思うのだが、それにもましてこのお二方のお互いのゆるぎない信頼、もとい、愛、があるからなのだろうと強く感じた。いい一日であった。
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バー日向
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