河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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924- パーヴォ・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 2009.10.26

2009-10-28 01:18:43 | インポート

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2009-2010シーズン聴いたコンサートより

2009年10月26日(月)7:00pm

NHKホール

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コープランド 庶民のファンファーレ

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バーバー 弦楽のためのアダージョ

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バーンスタイン ウエストサイド物語より

         シンフォニック・ダンス

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ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より

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(アンコール)

バーンスタイン キャンディート序曲

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パーヴォ・ヤルヴィ指揮

シンシナティ交響楽団

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ひと頃、テラークから出ていたCDのサウンドそのもののような比較的硬めのメカニカルで、それでいてその後、この今日の指揮者のせいかどうか少し柔軟になった音を聴くことが出来た。ヘスス・ロペス・コボスが振ったマーラー・サウンドと硬い部分に関してはオーケストラの共通項の特質として聴きとれる。

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今日のプログラム・ビルディングはアンコールも含め完璧。アメリカの表玄関のような曲が並んだ。ニューヨーク・フィルこそこれらの曲の演奏にはふさわしい気もするが、オハイオもアメリカ、アメリカン・セレブレーション・ナイトとして楽しもう。

一曲目のコープランドの曲は正しくは、

ファンフェア・フォァ・ザ・コモン・メン

と発音する。(Fanfare for the Common Man

Common Manを庶民と訳すのはどうも違和感がある。一般普通でない人達以外の人のことだろうなぁ。プログラムの解説にはうまく説明が書いてある。

ヤルヴィのテンポはかなりスロー。この曲はブラス・セクションとティンパニーによる爆な曲なわけだが、ファンファーレの割には長い曲。ある種、熱狂のようなものが欲しい。

ヤルヴィは四角四面な演奏で、それが、醒めた音楽を放出する。

このファンファーレはニューヨーク・フィルハーモニックの演奏で何度か聴いている。バーンスタインの飛び入り指揮というのもあったが、あすこには熱があった。なんというか底から湧き出てくるというか、吹きあげるというかそんな感覚。

シンシナティはグーセンスがらみで世界初演という動かしがたい事実があるので、ここはそのトラディッショナルなサウンドに聴き耳をたてる。

ゆっくりめでアメリカのオケにしては少し控えめ、品位と節度は時として、みすぼらしい田舎演奏となってしまうこともあるが、ここではぎりぎり踏みとどまった。聴衆のほれぼれする聴き方、クラップ、見事であった。

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バーバーの曲は映画をはじめいろんなところでよく聴かれるなじみ深いものだが、ヤルヴィの棒の特徴が少しずつあらわれてきたようだ。

どうせアメリカを並べるなら、ここはバーバーではなく、アイヴスの、アンアンサード・クエスチョン答えのない質問、だったらどうだろう。突然宇宙に放り投げられたような気持も悪くはない。ちょっと音楽が深すぎるが。

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バーンスタインのウェストサイド・ストーリーは、わかってはいるものの、つんのめるようなリズムが最初から最後まで、面白いというか、ストレスが蓄積するというか、この作曲家の異質性というよりも限界を垣間見ることが出来て面白いのだが、シンシナティのオーケストラは大迫力で、かつ、ヤルヴィ特有のディテールへのこだわり、その対比が際立っており、あまりやりすぎると曲の縁取りが視野に入りすぎ小粒な曲のように聴こえてしまうものだが、これもぎりぎりで踏みとどまった。

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前半終了

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後半は、新世界より。

明らかに明白なのは、第1楽章第2主題の歌いぶり。緊張感をもった第1主題との対比は、ブレーメンのカンマーフィルを振ったベートーヴェンなどよりもかなり強調されている。古典主義よりあとの曲に対する理解と踏んだ。ソナタ形式の解釈の多様性を1人でいろいろと魅せてくれるようだ。第2楽章以降も同じような傾向が続く。結局、前半のバーバーも同じような解釈だったのかもしれない。ただ、

指揮が全て演奏解釈として表出されていたかというと、そうでないような部分もあったようだ。音楽が流れているのか、惰性なのかわからないような箇所が散見され、このやりつくされた新世界で、一度振り間違えがあったように思う。第2楽章か第3楽章か記憶が定かではないのだが。ここはアンコール曲と同様、譜面を見ながら振ったほうがよかったのかも。

第4楽章のイン・テンポによるコーダの盛り上げは、いつも聴いている音の織物と全く異なるような響きを部分的に醸し出し、非常に面白いものではあった。が、音が狭い、つぎはぎのように前進するような錯覚に陥った。これもぎりぎりで踏みとどまった。

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ホルンの1番2番は女性。1番のリズさんはノン・ビブラートであっさりしたものだが、すこーしフラット気味。総じてブラスは1.5流か。

ウィンドは指揮者の執拗な練習、こだわりのせいか、成果がでている。

弦も含め、まだ男性団員が多く、なんとなく昔風な趣を感じる。

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アンコールはキャンディート序曲。今日バーンスタイン2曲目だ。ほとんどブラスバンド風な響き、ちょっとチープ感が漂うが、ウィンドの多彩な響きで救われる。迫力は最高。いいアンコール曲だ。盛大な拍手。

おわり

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