昔からプロ野球ではナイターはデーゲームよりボールが速く見えるから速球派投手に有利と言われています。かつて江川卓がナイターでは抑えるのにデーゲームでは打たれることが多く、それが証拠のように言われていました。実際に同じスピードでも暗いと見づらいので速く感じるのだろうと思います。これはテニスでも昼間とナイターではハッキリと差を感じます。それも年齢を重ねるほどに深刻です。僕も30代には言われてもそれほど実感はありませんでしたが、アラフィフくらいから「これは見づらいな」と痛感するようになり、今では半ば諦めて勘で打っています。
一番顕著に差が出るのがサービスリターンで、サービスが130kmオーバーくらいが境目で、それより遅ければ比較的ちゃんと当てられますが、ナイターでそれ以上速いサービスを打たれると「見えない!」となります。何が見えないかというと、ボールの出所がわかりにくいので、そのサービスの球速や回転量、さらに言えばワイドかセンターかなどの判断が完全にワンテンポ遅れてしまい、速ければ速いほどその遅れが取り戻せないのでリターンミスに繋がってしまうのです。
ボールを見ていてもリターンが間に合わないから、先ほど書いたように勘で打つことになります。勘と言っても完全に山勘ではなく、相手の全体のフォームや過去のサービスの印象から、「このあたりかな」みたいに予測して打ちにいくのですが、ボールがちゃんと見えていないのですからミスヒットが増えるのは当然です。かと言ってしっかり見ようとしたら全て振り遅れてしまいますから、勘の方がまだ確率が高いのです。
そして相手のサービスの癖を覚えたり変化に慣れてきたら、微調整を繰り返すことでリターンの確率は上がっていきます。これはナイターに限らず昼間でも同じですが、より見づらいナイターの方がデータ収集と分析による予測が重要になってきます。それでもナイターで150km以上のサービスを打たれてしまったら、ほぼお手上げです。江川の速球をプロの選手が打てないのですから、ほぼ同じスピードのサービスを60代の僕が返せるわけがありません。