楽天の安楽智大のパワハラ騒動は大きなニュースになっていて、安楽の選手生命も断たれることになるかも知れません。ここまで騒ぎになっては安楽と契約を結ぶ球団はなかなか現れないでしょう。中田翔のように暴力事件を起こしても、山川穂高のように女性に暴行を働いても、実力があれば目を瞑って契約をしようとする球団がいるのがプロ野球界というところではありますが、安楽はかつてのドラ1とは言え中継ぎ投手ですから、エースや主砲ほどの市場価値はありません。球団の戦力アップとイメージダウンとを天秤にかければデメリットが大きいと思います。
旧ジャニーズや歌舞伎界、宝塚歌劇団、ビッグモーター、さらには以前に事件になった大相撲なども含めて日本の多種多様なコミュニティ内にパワハラやセクハラが潜在しています。潜在しているうちは内部ではわかっていて問題だと感じていても改善はされませんが、顕在化したら今の世の中では一気にアウトの事案になります。だからハラスメントは金輪際やめましょうとは簡単にいかないことがまた問題で、ハラスメントがあればまずは外部に漏れないように隠蔽に走る組織が大半でしょう。
隠蔽することを最初に考えるのは、そもそもハラスメントが大きな問題、というよりも犯罪であるという認識が特にトップ層では希薄だからだと思います。「そんなことは昔は当たり前だった」「そうやってコミュニケーションを図ってきた」「やられる方にも問題がある」などと言う古い認識のままでいるから、いつまでたってもハラスメントの温床となって改善されないのです。
そしてそういうハラスメント体質の人間がこれまで幹部になりがちだったことにも原因があります。下から見たらハラスメントでも、上から見たら統率力がある、リーダーシップがあるなどと評価されて引き上げられる場合が多いのです。そして企業などで体育会出身者を優先して採用してきたのも「上の命令に従順だから」「理不尽なことにも耐えられるから」というハラスメント前提の理由だったわけですから、そう簡単に意識は変わらないでしょう。
もうハラスメントは「ダメ、絶対」の時代なのですから、認識が変えられない人たちには退場願うしかありませんが、ただ飛び抜けて能力が秀でている場合は何とか救おうとする人たちが必ずいますから、それもまた難しいところです。被害者の心情を考えたら当然ですし、組織のリスクマネジメントとしても優秀でもハラスメント体質の人間をそのままにしておく方がリスクが大きいと思います。