今年のウィンブルドンは昨年に続きアルカラスとジョコビッチの新旧王者対決となり、昨年に続きアルカラスが勝利して連覇を達成しました。見ていた誰もが思ったことでしょうが、昨年よりも両者の差は明らかに開いていたし、21歳と37歳の年齢差があるのですから、それも当然のことでしょう。むしろジョコビッチはよく頑張った方だと思います。それくらいアルカラスがジョコビッチを圧倒していました。
過去にもウィンブルドンの男子シングルスで2年連続で決勝で対戦したカードは何回もあります。オープン化以降でもボルグ-コナーズ、ボルグ-マッケンロー、エドバーグ-ベッカー(3年連続)、フェデラー-ロディック、フェデラー-ナダル(3年連続)、ジョコビッチ-フェデラー。過去は全て世代が近いライバル関係にある2人の対戦ばかりでした。16歳も年が離れている2人が2年連続で対戦するというのは異例中の異例ですし、たまたま若くして頭角を現したアルカラスと、驚異のベテランのジョコビッチが、この瞬間だけ交差したということになります。16歳差というのはボルグとサンプラス、もしくはエドバーグとフェデラーの年齢差ですから、対戦すること自体が珍しいです。
アルカラスのライバルは現在ランキング1位のシナーです。アルカラスは3位ですから、この1年ではシナーの方が好成績を残していると言えるでしょう。過去の対戦成績も両者伯仲していますが、グランドスラムのタイトル数だけはアルカラス4(仏1・英2・米1) に対してシナー1(豪1) と差がついてしまいました。不安定なところもあるけれども、ここぞの大勝負で強いアルカラスと、常に安定したパフォーマンスのシナーというところでしょう。まだ21歳と22歳の両者だけに、今後この関係がどう続いていくのか楽しみです。
そしてジョコビッチ。もはや残されたタイトルはオリンピックの金メダルだけですから、今回のウィンブルドンよりもパリ五輪に今年は軸足を置いているのかもと思います。フェデラーに続き、ナダルもマレーも今年限りで引退しそうな中、未だにトップクラスの実力を誇るジョコビッチはいつまでプレーを続けるのか。もしかしたら40代でのグランドスラム制覇を目論んでいるのかも知れません。