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幹事クリタのコーカイブログ

テニスをはじめあれこれ好き勝手書いています。「幹事クリタのコーカイ日誌」のブログ版です。

長崎は最後の被爆地

2025-08-09 23:59:50 | 政治
 長崎平和祈念式典での石破首相のあいさつは、広島に続き素晴らしいものでした。広島では原爆歌人の正田篠枝の短歌を2度も繰り返しましたが、今回は長崎で自らも原爆で被爆しながら救護に尽力した医師・永井隆博士の「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」という言葉を引用しました。長崎は広島に次ぐ「2番目」の被爆地ではなく、「最後」の被爆地であって欲しいという永井博士の言葉は実に重みがあります。永井博士は朝ドラ「エール」で吉岡秀隆がモデルの人物を演じました。その時も少し注目はされましたが、今回石破首相のあいさつに引用されたことで、さらに取り上げられると良いなと思います。

 広島でも長崎でも石破は見事なあいさつをしました。近年の首相のあいさつが実に陳腐な官僚作文のコピペ続きだったことを思うと、本来国のトップには最低限これくらいの含蓄と知性を持った発言をしてもらいたいものだと強く思います。首相たるもの政治のみならず幅広い分野の勉強をして教養を身につけるべきなのに、料亭で会合ばかりして、簡単な熟語すら読み間違えるような政治家は、似た者同士のトランプ相手なら気が合うかも知れませんが、普通の国家のトップとは話が合わないし、見下されるだけでしょう。

 ここまで見事なあいさつを書ける石破なら、どんな80年談話を発出するのか楽しみです。ただ旧安倍派の議員を中心に、ますますこれで「石破おろし」が激しくなるのも目に浮かぶようです。80年談話で安倍の70年談話を打ち消されたら困るということのようですが、石破が何を言うのか中身もわからないのに発出に反対しているのもお笑い草です。裏金と統一教会問題で自民党を凋落させた原因である議員たちが生き残りに必死なのはわかりますが、自分たちのことしか考えていない姿は哀れでしかありません。

 とは言え、ここまではっきりと「石破カラー」を打ち出してくると、もはや党内融和は難しいでしょう。なので、できることなら自民党内に80人前後いると言われている「保守系」とされる極右議員は高市を担いで分党して欲しいものです。その上で参政党や維新と連立すれば良いのではないでしょうか。安倍のせいで昔よりかなり右寄りになってしまった自民党の重心が少し真ん中寄りに戻ります。自民党を批判しながら「石破やめるな」と矛盾したことを言わなければならない有権者もスッキリとわかりやすくなりますから、支持も戻ってくるかも知れません。

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小さきあたまの骨 あつまれり

2025-08-06 23:43:50 | 政治
 石破首相が広島で行われた平和記念式典でしたあいさつが話題を呼んでいます。これまで広島、長崎での首相のあいさつと言えば、「コピペ」批判が集まっていて、安倍、菅、岸田の3人がともに毎年ほとんど変わらない原稿を読み上げるだけでした。そこに人間的な感情の機微はなく、「ああ、役人が書いた原稿を気持ちも乗らないままにただ読み上げているんだな」と思わせるものでした。特に岸田は広島出身だけに、自分なりに広島の被爆者に対して心のこもったあいさつを述べれば良いのに、なんと情けない政治家だろうと思いました。

 石破はさすがに違いました。官僚に作らせたのではなく、いかにも自分自身で考えて書いた内容でした。2年前に改装された平和記念資料館を訪れた時に感じた個人的な思いを最初に述べ、被爆国としての日本政府の立場の堅持を明言し、最後に歌人・正田篠枝の短歌を2回繰り返しました。

「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」

 この短歌は、歌集「さんげ」に収録されていて、平和記念公園そばの「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」にも刻まれているものだそうです。この歌を初めて知りましたが、瞬時に悲惨な光景が目に浮かぶ、心の奥にズシンと響く痛切な反戦歌です。「原爆歌人」正田はGHQ占領下に検閲を受けずに秘密裡にこの歌集を出版したそうです。「死刑になってもよいという決心」だったというその覚悟の強さ。石破は自分の思いは全てこの短歌に尽くされていると語っています。

 そこにはもちろん参政党議員の塩入某が「核武装は安上がり」などという被爆国としてあり得ない発言をしていることや、沖縄戦について歴史を捻じ曲げるような発言をしている自民党の西田某とか、また簡単に権力に追従していくだけの今のメディアに対する思いも込められていると思います。元来バリバリに右寄りの保守論客である石破を「リベラル」だと中傷したつもりでいる「保守もどき」の底の浅い勉強不足の連中に対しても、言いたいことは山ほどあるでしょう。

 いつもは原稿を見ずに喋る石破が、丁寧に原稿を読み上げたのは、それだけ内容に心を砕いたからだと思います。手放しで石破を礼賛できるほど、首相になってから大した成果を挙げているわけではありませんが、石破が戦後80年談話を出すか出さないかで、裏金議員と壺議員があれだけ談話発出に反対するのですから、それならばぜひ石破が語る談話を聞いてみたいとは思います。

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石破包囲網

2025-07-31 23:59:54 | 政治
 続投を宣言している石破首相ですが、どうやら周りからの「辞めろ」圧力がどんどん高まっているようです。当初は石破を仇敵と考えている旧安倍派の裏金議員や統一教会と近い「壺」議員らが声高に石破おろしを言っていて、かえってどの口が言ってるんだという反感を買い、「石破やめるな」運動が起きるほどでした。しかしその後の石破の一徹な態度に、同情している党内の穏健派までもが心が離れてきているらしく、もはや「死に体」ではないかと囁かれているほどです。

 さらに維新、国民民主党、参政党といった保守系野党が「ポスト石破」となら連立を組むことも考えられると秋波を送り始めています。これは自民党にとっては願ったり叶ったりの話で、長期低落傾向の公明党と組んでいるよりも旨味が大きいですし、しかも野党側から言ってくれれば足元を見て安く買いたたけます。自民党側の譲歩が少なくて済むのですから、それなら石破には辞めてもらおうと考える議員が増えるのも当然です。維新など焦って両院議員総会で自分たちからはっきり連立入りを言い始めました。自ら安売りするとはいよいよ維新も先が長くなさそうです。

 立憲民主党や共産党、れいわ、社民党らリベラル系野党も、さすがに石破擁護はできませんから、せいぜい「次に高市はダメ」と言うくらいにとどまります。もはや政界で石破を守ろうとしているのは、本当に取り巻きの議員たちだけになってしまいそうです。なにせ常に多数派につくのが自民党ですから、このままいけば石破は8月末には退陣せざるを得ないところまで追い込まれそうな感じになってきました。

 戦後80年談話を発表することに拘りを見せる石破と、なんとしても安倍の70年談話を否定されたくない旧安倍派議員たちの小競り合いはまだ続きそうですが、ただそんなことをしている間にもどんどん自民党の支持者層は呆れて減っていきます。党内の争いばかりしていると政治が停滞して国益にも反しますから、いっそ石破はさっさと退陣時期を明言した方が良いんじゃないかと思います。そしてどうせ辞めるんだからと、石破なりの最後っ屁で、旧安倍派の闇をできるだけ暴いて、少しでも党内浄化を進めることを期待しています。

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いまそこにある虐殺

2025-07-29 23:51:24 | 政治
 ガザ地区の惨状がニュースで届きます。悲惨そのものです。無差別に街を爆撃をされ、さらに人道的支援さえ届かず、少ない食料を奪い合って生きようとする人々。子どもたちが飢えて死んでいっています。「北斗の拳」の世界です。21世紀にこんなことが現実に行われていて良いのかと思いますし、それを映像を通して見ている世界中の人々、特に各国の指導者たちが手を拱いて傍観していることにも憤りを感じます。

 ガザ「虐殺」はヒトラーのユダヤ人虐殺以来の歴史に残る非人道的行為として後世に記憶されることでしょう。イスラエルのネタニヤフはヒトラー並みの戦争犯罪者です。しかも彼は「ガザに飢餓はない」と今になっても平然として嘘をついています。日本の政治家たちの嘘が可愛く見えるほどの大嘘つきです。さしものトランプもネタニヤフの発言を否定して「子どもたちはとても飢えているように見える」と言いました。

 とは言え、イスラエルを支えているのはアメリカであることも間違いありません。ヨーロッパ各国もイスラエルには遠慮がちで、強く批判することをしません。ユダヤ人に対する歴史的な経緯があるからでしょう。6月のサミットでは石破首相のみがイスラエルのイラン爆撃を非難しました。これを否定的に伝える日本のメディアも多かったですが、僕はあの時の石破の発言は正しいと思っています。政治的な損得の前に、人間として許すべきではない行為に対してはしっかりと非難すべきだと思います。

 今日イスラエルの人権団体が自国のガザ攻撃を「ジェノサイド」だと非難しました。イスラエル国内でもついにそういう声が上がるほどの事態になっています。いくらユダヤ人に歴史的な借りがあるとしても、さすがに各国首脳はこの状況を好転させるために動きだすべきでしょう。日本は「石破おろし」に自民党内が躍起になっているので今は動けないかも知れませんが、本当ならユダヤ人に借りなんかない立場だからこそ、率先してこの問題に取り組んで欲しいところです。

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石破おろしと石破辞めるな

2025-07-27 23:59:36 | 政治
 参院選で自民党が大敗を喫して「石破おろし」が吹き荒れている自民党内ですが、それに反するように野党や国民の間から「石破辞めるな」の声も上がっています。石破辞めるなの理由は、石破が安倍以来の歴代総理に比べて人間的にまともだ、という評価の他に、石破が辞めて高市が総理になることの方が「より悪い」という危惧、また野党にしてみれば石破の方が選挙に弱いから有利という判断もありそうです。なにせ衆院選、都議選、参院選の3連敗です。3年連続最下位の中日の立浪前監督のようなものです。

 僕も石破の方が嘘をつかないし、公文書の改ざんや破棄もしないし、野党や野党支持者に対しても丁寧に対応しているし、歴史修正主義者でもないし、人としてかなりまともだと思います。高市のような安倍崇拝を前面に押し出しているだけの強権的な極右政治家よりはずっと信頼できます。とは言え、やはり筋としては石破は辞任すべきだと思いますし、そうじゃなければ結果に責任を取る政治家としての基本動作ができていません。

 ただ石破を辞めさせる前に、自民党の連中はこの3連敗の本当の敗因をきちんと分析すべきでしょう。それをせずに党内の権力争いから単に顔を替えて終わりとしていたら、この先も負け続けることになります。3連敗した主犯は石破ではなく旧安倍派の裏金議員たちです。そして彼らのほとんどが統一教会や日本会議に繋がっています。裏金問題、統一教会問題でどれほど自民党が批判を浴びたのか、もうすっかり忘れたような顔をしていますが、国民はきちんと覚えているから、国民人気が高い石破がトップでも自民党に投票しなかったのです。先に辞めるべきは裏金議員なのに、一向にそんな気配も見せないどころか、石破に責任を取って辞めろと言える神経の図太さは石破の比ではありません。

 また政策面で考えても、物価高による生活苦や外国人問題など、今回の参院選で争点になったことも、過去の自民党政治の失敗のせいですし、それは冷や飯喰いだった石破ではなく、長年党の主流派だった旧安倍派の責任です。国民の多くが賛成している選択的夫婦別姓も進めず、待ったなしのはずの少子化問題も予算の無駄遣いしているだけで、いったい誰のために政治を行っているのかと思います。

 自民党再生のためには、裏金議員を一掃することと、これまでの政治運営の失敗の原因となった麻生、菅、岸田ら長老が引退することが先決です。石破が辞めるなら、彼らも一緒に辞めなければ自民党の「賞味期限切れ」感はぬぐえないでしょう。自民党が今回の結果を一過性のものだと甘く考えているのなら、どんどんジリ貧になっていきかねないです。まあそれでも自民党に期待するのは、あまりにも野党、特に立憲民主党が腰が定まらずに情けないからですけどね。

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今になって参政党批判のテレビ

2025-07-22 23:59:57 | 政治
 参院選で14議席も獲得した参政党。選挙戦の最中から、というか、それ以前から参政党の無茶苦茶な主張や嘘出鱈目の発言を問題視してきましたが、マスコミ、特にテレビはファクトチェックもせずにずっと沈黙していました。そして案の定、参院選が終わってから神谷代表を詰めたり、参政党の憲法草案を取り上げて批判したりしていますが、「いまさら」感が半端ないです。「中立」の名の下にジャーナリズムとしての仕事をさぼっているとしか思えません。

 当選してから批判を展開しても、当選が取り消されるわけではないし、ましてや本人たちが辞職するはずもありません。今後6年間は有効なのですから、やろうと思えばかなりの力を発揮することができます。さすがに当選した「さや」が主張している核兵器の保有や徴兵制は現状では荒唐無稽だとしても、神谷が高く評価した戦前の治安維持法に近い法案を提出することはできます。それによって参政党を批判するようなことを言えば「非国民」として逮捕拘留することも可能になります。

 もし石破の後釜に高市首相が実現したら、自民党と参政党、維新、保守党あたりが組んで極右政権を作ることは十分に可能です。石破は続投宣言をしていますし、維新も保守党も自民党との連立を「今のところ」は否定していますが、立憲民主党が石破に対して不信任案を出せば、一気に雪崩をうってそういう流れになってもおかしくありません。それもこれもテレビが選挙期間中に傍観していたからです。高市はテレビ局批判を以前からしていますから、彼女が首相になったらテレビ局も安穏とはしていられないと思うのですが、その割には動きが鈍いのはどういうことなのでしょう。

 ただし参政党も選挙までは波に乗ってきましたが、これからはそうはいかないだろうとも思っています。急激に大きくなった組織をきちんとまとめて機能させることができるのか、また他党との交渉や駆け引きができるのか、選挙用の杜撰なものではなく、政治家や官僚と同じレベルで法案や政策を詰められるような人材がいるのか。いずれも参政党には不足しているように思えますが、「神谷独裁」と言われ、その主張が「非科学」「反知性」の党なので、優秀なスタッフは逃げ出しこそすれ、なかなか入ってきてくれないのではないかと思います。神谷のテレビでの具体案のない「薄い」受け答えを見ていると、本当にアジテーターとして優秀なだけなんだなとしか思えません。

 現状の政治に不満を抱き、自民党批判の受け皿として参政党が獲得した議席は、残念ながら最終的にはしたたかな自民党にうまく利用されて終わるのではないかと睨んでいます。それが石破政権なのか高市政権なのかによって、全然意味合いが違ってくるでしょう。高市は選挙中から自分がやる気満々ですが、石破も思っていた以上に頑固な粘り腰なので、どちらが、もしくは意外な3人目が、首相にならないと先行きが見通せない状況です。多党化の流れもハッキリしましたし、しばらく日本の政治は混乱状態が続きそうです。

 

 

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嘘でもいい

2025-07-19 23:59:44 | 政治
 JX通信社代表取締役の米重克洋氏がBS-TBS「報道1930」で参政党の勢いは「反石破、親安倍、反民主」の受け皿になるのが参政党しかないからだと解説をしました。僕はどちらかと言えば「親石破、反安倍、親民主」なので、全く真逆ですから、そもそもこういう人たちの思考があまり理解ができないのですが、それにしても選択肢が参政党しかないということが驚きです。なぜ維新や保守党ではなく参政党になるのか。少なくとも維新や保守党の方が参政党よりは言ってることはまともです。目立てばいいとばかりに出鱈目ばかり言ってる参政党よりは選択肢として良いと思うのですが。

 それにしても「親安倍」なんて、そんなにたくさんいるのでしょうか?国会であれだけ嘘をつきまくった安倍は信用できないし、安倍が繰り返していた「悪夢の民主党政権」についても、日本が落ち込んだ直近30年の中でたった3年間の民主党政権よりも、その前後のはるかに長かった安倍政権の方が、どう考えても日本の低迷の主要因だと思うのですが、いつまでも「親安倍」「反民主」の洗脳というか、呪いが解けないのも不思議です。

 そもそも日本の平均給与が上がったのは民主党政権下のことで、給与が一気に下がったのが安倍政権下でした。安倍政権は勤労者を派遣社員にすることで平均給与を大幅に下げて、その代わりに株価を上げました。企業は儲けた金を人件費に回さずに内部留保と株主還元に回したのです。株価が上がったことで、かつての「一億総中流」だった日本が、株を持つ富裕層と持たない貧困層に分断されてしまったのに、その貧困層がなぜか「親安倍」なのですから、大企業と富裕層にとってこれほど美味しい話はありません。

 本来なら貧困層こそ自分たちを貧しくした「反安倍」になるはずですが、景気が良くなったとか失業率が下がったとか言って安倍政権を支持していました。企業が儲かれば一見景気は良くなったように感じるでしょうし、安い給料で働く若者が増えれば失業率は下がるでしょう。単に若年労働者の多くが正社員ではなく派遣社員になったからで、自分たちを安売りしていただけなのに。もちろんここで反論があることもわかります。そうしなければグローバル化が進む世界経済の中で日本企業が生き残れなかったとか何とか。そう、グローバル化を進めたのも安倍政権なのに、なぜ反グローバル化を声高に言う参政党支持になるのかが理解できません。

 つまり今回参政党に騙されているとか言われていますが、そもそも安倍政権に騙されていたのです。それに気づいていないから、安倍政権時代の政策を修正しようとしている石破政権を批判して「反石破」になり、未だに「親安倍」として、安倍に近い言うことがだけ派手で嘘つきな参政党に共感するのではないかと思います。いや、もしかしたらそれも考えすぎで、単に嘘でもいいから、騙されてもいいから、「悪いのは外国人、女性、高齢者、障碍者、LGBTQ」という、自分たちにとって気持ちの良い「作り話」を聞いていたいだけなのかも知れませんけど。



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外国人問題は争点ではない

2025-07-17 23:59:15 | 政治
 今回の参院選の争点は物価上昇による国民生活の困窮に対してどう対応していくか、ということです。参院選が始まる前は消費税の減税か現金給付かで与野党の主張が対立していました。減税ではなく社会保険料を下げろという意見もありました。じゃあその財源はどうするのか、また社会保険料を下げて今の社会保障は維持できるのか、ということをいろいろと活発に議論することに今回の参院選の意味があると思っています。

 ところが参政党の「日本人ファースト」というスローガンのせいで、外国人問題が急にクローズアップされてしまいました。外国人が優遇されていて、日本人が貧しくなったのは外国人のせいだ、という根も葉もないデマをまき散らしている参政党など相手にしなければ良いはずなのに、それをなぜか信じる人たちが一気に参政党への支持率を上げました。それに慌てた他の政党までが外国人に対して厳しい規制をするなどという公約を急いで付け加えたりしたものですから、一気に「ありもしない」外国人問題が争点化してしまいました。

 ファクトチェックで外国人が優遇されている事実などないことが明らかにされ、厚労相が「外国人を優遇してなどいない」とハッキリ言明したにも関わらず、いまだに外国人のせいで日本人が貧しくなったと信じている人たちがたくさんいるようで、参政党の勢いが衰えません。頭から信じている人たちを理屈で動かすことがいかに困難かということです。まあ本当にそう思っているというよりは、インバウンドで裕福な外国人が日本で大金をつかって楽しんでいるのが気に食わないという暗い嫉妬心を表出しているだけでしょうけど。

 本来議論すべきことが脇に置かれて、問題がないことを無理矢理問題があるようにしてしまったのは、元凶の参政党よりも、それに乗ってしまった自民党をはじめとする既成政党の責任です。神谷代表は「日本人ファースト」は選挙のためのスローガンだと既に自白しているので、恐らく選挙が終わったら有耶無耶になっていくことでしょう。そもそも外国人は優遇されていないのですから、そこから財源など出てこないことなど神谷もわかっているはずです。外国人を仮想敵にして攻撃することで、不満と不安を抱えている日本人の攻撃性を票に繋げようとしているだけです。そしてそのせいで優秀な外国人労働者や外国人留学生が日本から逃げ出して、少子化が進む日本がますます貧しくなっていく未来が訪れます。悲しいことです。

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推しと信者

2025-07-14 23:59:50 | 政治
 今回の参院選で目立つのは若い世代が政治に関心を持ち、投票に行く意向を示していることです。それ自体はとても良いことで、これまで若者が政治に無関心だったために、若者向けの政策よりも年配層向けの政治が行われてきました。当然のことながら投票しない人に政治家はあまり関心を示さないからです。また投票率が低ければ組織票の影響が増しますから、自民党のように業界団体の支援を受けたり、立憲や国民民主党のように労組の支持があったり、公明党のように創価学会のバックアップで選挙活動をするところが議席を多く獲得できたわけです。既成政党の強みはこうした組織力にありましたから、本音では無党派層は寝ていれば良いという某政治家の発言に象徴されることになります。

 若い人が投票に行けば、若い人に受ける政策を公約にする政党が支持を伸ばします。当然これまでの政治とは変わってくることになるでしょう。子育て支援や住宅取得支援とか、賃金アップとか、減税や給付の拡大などです。そして今回の選挙ではどの党も揃って上記のような似た公約を掲げています。かつては共産党や社民党が毎回主張していたことです。ところが今や「小さな政府」「財政規律重視」のはずの保守系まで同じことを言い始めました。財源論はどこかに置いたままです。

 どの政党も似たような公約を掲げている時に、これまで政治に無関心だった人はどうやって政党を選ぶのか?どこも同じなら、考えられるのは「見た感じが良い人」です。そもそも政治に無関心だったのですから、これまでの各政党の来歴も知りません。右か左かもわかりません。サッカーのオフサイドもよくわからないのにサッカーを見に行ったら、話題になっている若くてカッコいい目立つ選手を応援するでしょう。政治の基礎知識がなければSNSで話題の「良い感じ」の候補者を選ぶのも同じです。

 そういう人が「推し活」感覚で候補者や政党を選ぶのをいくら批判したところで、本人たちには届きません。仮に届いても「何がいけないのか」と思うだけです。それが高じれば「信者」になります。信者は批判されればされるほどより教祖に殉じるようになるのは迫害されてきた宗教の共通した道です。今回の参院選は地方首長選で展開されてきたそういう新しい現象がいよいよ国政選挙でも起こるのを目撃することになりそうです。あとはそれが国政にどれほどの影響力をもつかを注視しようと思います。「今回だけ」のことだと思う人も多いでしょうが、それでも今回当選すれば6年間有効なのです。影響がそれなりにあることは間違いありません。それにこれが新しい政治参加の流れであることは誰も否定できないのですから。

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なめられてたまるか

2025-07-11 23:59:18 | 政治
 石破首相が街頭演説でトランプ関税について「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない。守るべきものは守る」と発言したことが波紋を呼んでいます。この言葉自体は品はありませんが僕は正しいと思います。同盟国に対する対応としてトランプのやり方はあまりにも理不尽ですし、そんなことは誰だって百も承知でしょう。トランプは日本は脅せば言うことを聞くと思っているからこそ、日本も安易に妥協せずしっかりと腰を据えて対応しなければなりません。

 ただ対トランプというと、トランプに媚びを売りまくった安倍晋三の対応を誉める安倍信者がたくさんいて、こうした石破の対応を批判します。もともと安倍が石破嫌いだったせいで、安倍信者は石破のやることは何でもかんでも批判するし、石破を左翼だと中傷していますが、石破は昔から右寄りの政治家だったのに、何を言っているのかと不思議に思います。そもそも「左翼」とか「共産党」とかが悪口だと思っているのがおかしいわけで、それも国会で変なヤジを飛ばしていた安倍のせいでしょう。

 で、安倍信者が言うことには「なめられてたまるか」は中国に言え、という、今回の文脈とは関係のない話です。日本にとってアメリカは同盟国であり、中国とは全く立場の違う国です。中国に「なめられてたまるか」は当たり前であって、それを今さら言う意味はありません。アメリカに尻尾を振って政権を維持してきたのが自民党で、安倍もその流れを汲んでトランプに媚びを売っていました。それに対して、たとえ選挙対策だとしても、アメリカに正々堂々と正面から意見を言おうとする石破の態度は歴代の自民党総裁としてはかなり思い切ったことなのです。

 アメリカに盾突く日本の政権はこれまでも長続きしませんでした。石破は日米地位協定の見直しを持論としていましたから、そこが一番政権維持にはアキレス腱になるだろうと思っています。しかし、日本は安全保障をアメリカに握られていて戦後80年経つのに未だに米軍基地を国内に多く置かれて属国扱いのままです。中国や韓国を毛嫌いし、外国人排斥を唱えるわりには、米軍の犯罪や横暴については何も言わない極右政党よりは、アメリカからの独立を考えている石破の方がよほど純粋な「愛国右翼」です。

 現実的にアメリカの核の傘の下から出て、改憲をし自前の軍隊を持ち、アメリカとも中国とも等距離の外交を目指すことが果たして日本にとって得策かどうかは判断が難しいところです。と言うか、現状ではかなり無茶でしょう。だからこそ自民党だけではなく共産党以外の野党もアメリカの属国扱いでも80年間我慢をしてきました。だからといって従米が過ぎて、日米地位協定や米軍基地の存在を何の疑問ももたずに許容し受け入れるのは、日本と言う国家の政治家としては考えが浅すぎるし、単にアメリカというジャイアンのような強いものにへつらっているだけの本物の「売国奴」です。

 それにしてもネトウヨ御用達語は品がありません。敢えて使うだけでもどんどん品性が下がります。

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