長崎平和祈念式典での石破首相のあいさつは、広島に続き素晴らしいものでした。広島では原爆歌人の正田篠枝の短歌を2度も繰り返しましたが、今回は長崎で自らも原爆で被爆しながら救護に尽力した医師・永井隆博士の「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」という言葉を引用しました。長崎は広島に次ぐ「2番目」の被爆地ではなく、「最後」の被爆地であって欲しいという永井博士の言葉は実に重みがあります。永井博士は朝ドラ「エール」で吉岡秀隆がモデルの人物を演じました。その時も少し注目はされましたが、今回石破首相のあいさつに引用されたことで、さらに取り上げられると良いなと思います。
広島でも長崎でも石破は見事なあいさつをしました。近年の首相のあいさつが実に陳腐な官僚作文のコピペ続きだったことを思うと、本来国のトップには最低限これくらいの含蓄と知性を持った発言をしてもらいたいものだと強く思います。首相たるもの政治のみならず幅広い分野の勉強をして教養を身につけるべきなのに、料亭で会合ばかりして、簡単な熟語すら読み間違えるような政治家は、似た者同士のトランプ相手なら気が合うかも知れませんが、普通の国家のトップとは話が合わないし、見下されるだけでしょう。
ここまで見事なあいさつを書ける石破なら、どんな80年談話を発出するのか楽しみです。ただ旧安倍派の議員を中心に、ますますこれで「石破おろし」が激しくなるのも目に浮かぶようです。80年談話で安倍の70年談話を打ち消されたら困るということのようですが、石破が何を言うのか中身もわからないのに発出に反対しているのもお笑い草です。裏金と統一教会問題で自民党を凋落させた原因である議員たちが生き残りに必死なのはわかりますが、自分たちのことしか考えていない姿は哀れでしかありません。
とは言え、ここまではっきりと「石破カラー」を打ち出してくると、もはや党内融和は難しいでしょう。なので、できることなら自民党内に80人前後いると言われている「保守系」とされる極右議員は高市を担いで分党して欲しいものです。その上で参政党や維新と連立すれば良いのではないでしょうか。安倍のせいで昔よりかなり右寄りになってしまった自民党の重心が少し真ん中寄りに戻ります。自民党を批判しながら「石破やめるな」と矛盾したことを言わなければならない有権者もスッキリとわかりやすくなりますから、支持も戻ってくるかも知れません。