昨日で『東大王』が終了しました。7年半にわたって放送されてきましたが、後半の数年は迷走を繰り返していたと言っても良いでしょう。ピークは鈴木光が卒業した時でした。後はずっと「ポスト光ちゃん」を探し続けて失敗した歴史でした。こう書けば、いかに本筋から外れたところで番組側が努力をしていたのかわかろうというものです。クイズ番組で大事なのはクイズのクオリティであり、出演するタレントのクオリティではありません。クイズ番組を見ているのはクイズ好きなのですから、クイズそっちのけでタレントを探していたら、彼らにそっぽを向かれて人気が下がるのも当たり前です。
『東大王』だけではなく『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』も終了が発表されました。こちらもクイズよりもタレントがいかに面白くクイズを答えるかに演出が力を入れていました。大昔のテレビのクイズ番組というのは視聴者参加型が多く、それだけクイズに真剣に取り組んでいました。僕が昔に出演した『タイムショック』や『パネルクイズアタック25』など、当然解答者は素人ですから、面白いことは言わないしボケたりもしません。それだけにクイズそのものに興味が集中していました。
ところが今は芸能人が集まって、内輪受けやボケ回答を競い合ったりしています。なにせ彼らはクイズに答えることよりも番組を盛り上げることが役割だと思っています。またドラマや映画の宣伝で出演している俳優も多く、こちらは面白いことも言わずに、ただ番宣だからとやる気のない感じでクイズに答えていて、ファンじゃなければそんな姿を見ても好感度が上がるはずもありません。
さらにまともなクイズを作ってもクイズ好き以外の視聴者は呼び込めないからと、観光地の紹介番組みたいなクイズばかりやっているクイズ番組も多発しています。世界遺産に動物園水族館、花の名所とかグルメとかテーマパークとかを繰り返し取り上げていて、そうじゃければ難読漢字か受験問題。問題を作る方が手間暇かけていないことが丸わかりです。
ここまでクイズ番組がつまらなくなると、本来のファンであるクイズ好きすら見放すことになりますから、番組終了になるのも当然の帰結です。『東大王』の最終回の放送は関東圏とごく一部の地方局で放送しただけで、関西圏も中部圏もオンエアされませんでした。本当に寂しい話です。