書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

袖井林二郎 『拝啓マッカーサー元帥様 占領下の日本人の手紙』

2009年08月11日 | 日本史
 もと大月書店、1985年8月刊。
 いろいろな人がいて、いろいろな考え方があるのは、国籍や文化や民族や人種にかかわらず人間社会においては当然であり、敗戦という異常な環境下では、そのありようがいっそう際だってくるとしてもまた当然だろう。ここから日本人に関して何らかの一般的な結論を引き出すのは少々むりではないかという感想。
 マッカーサーへ手紙を書いた人間よりも(手紙は約50万通あるそうだが)、はるかに多くの数の日本人(当時の総人口8,000万人)が、手紙など書かなかった。さらにいえば、投書マニアを一般人と見なしてよいのかという疑問も残る。

(岩波書店版 2002年6月)