奈良本辰也編『近世日本思想史研究』(河出書房新社1965/2)所収、同書15-54頁。
朱子の朱子学および林羅山の朱子学を「ヨーロッパの中世自然法――トマス的自然法――に比定することは、今日ではすでに通説となっているといってよい」とある(23頁)。これが現在も通説であるとして、従来どうもよく解らない。衣笠氏は、朱子学についてはともかく、羅山学については、異議を唱えておられる。さらに根本的に、ヨーロッパ中世の自然法を、いわば“あてはめて”そこに類似したものを見出そうとする丸山眞男(朱子学)・奈良本辰也(羅山学)両氏の方法の学問的妥当性についても疑問を呈している。
朱子の朱子学および林羅山の朱子学を「ヨーロッパの中世自然法――トマス的自然法――に比定することは、今日ではすでに通説となっているといってよい」とある(23頁)。これが現在も通説であるとして、従来どうもよく解らない。衣笠氏は、朱子学についてはともかく、羅山学については、異議を唱えておられる。さらに根本的に、ヨーロッパ中世の自然法を、いわば“あてはめて”そこに類似したものを見出そうとする丸山眞男(朱子学)・奈良本辰也(羅山学)両氏の方法の学問的妥当性についても疑問を呈している。