書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

外務省編 『小村外交史』

2009年05月19日 | 日本史
 信夫淳平『侯爵小村寿太郎伝』(1922年6月脱稿の「甲号本」)を大幅に補訂したもの。もと『日本外交文書』別冊として1953年刊。(以上、巻末の解説今井庄次「『小村外交史』と稿本『侯爵小村寿太郎伝』について」による。)
 乃木希典が殉死した後、頭山満はある人に、「先帝には小村を先供に、乃木を後供にせられて御満足でしょう」と言ったそうな。この挿話を承けて、「小村・乃木という代表的な文武の官僚を先後供とした明治天皇を語る国士頭山満、まさに明治史を結んで相応しい光景である。」という文章で、全編は〆め括られる。

(原書房 1966年5月第1刷 1980年8月第2刷)