書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

本の献呈はむずかしい

2010年12月01日 | 思考の断片
 近頃二冊、連続して本を出した。最初の本ができあがったとき、前に出してからやや間隔があいていたので、欠礼をお詫びする意味でもわりあい多数の方々に献呈してもらえるよう、出版社にたのんだ。これを「著者代送」というらしい。らしいというのは、最近知った言葉だからである。それまでは自分で本の扉の後ろの「献呈」の文字書きや発送手続を、全部自分でやっていた。
 著者代送なら「献呈 著者」のしおりをはさむのをはじめ、出版社がすべてをやってくれる。こちらは送付先のリストを示すだけでいい。
 楽である。反対にいえば、手抜きとも言える。それが悪かったかもしれない。
 もちろん、これまでどおりに「拝受しましたありがとうございます」ととりあえずのお知らせを下さる方、加えて「感想はのちほど」という行き届いた挨拶までしてくださる方、さっそく(あるいは少し時間をおいて)、読後感を伝えて下さる方のほかに、まったくうんともすんとも、何の通知も返してこられない方々が何人かいた。
 思うに、この方々は、こちらのいわば安直なやりかたを、失礼と感じられたのかもしれない。どうなのだろうか。
 あるいは「せっかくのご配慮なれど向後御不要になされたくかしこ」という意味の沈黙かもしれないが。