書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

速水博司『近代日本修辞学史 西洋修辞学の導入から挫折まで』(有朋堂1988/9)『レトリックの歴史 近代日本』(同1995/5)を読む

2017年05月04日 | 人文科学
 明治以前の日本には“レトリック”の概念もその研究の伝統もなく(西洋語の西洋起源のものだから当たり前だが)、明治後の修辞学は、ときに伝統的な漢文の“修辞”学(漢語におけるそれに類似した存在)と折衷させようという努力がみられるものの、総じて西洋のそれの導入と当てはめに終始し、つまり日本語のレトリックもしくは修辞を分析研究しようという見地を欠いたまま、大正時代に至って沈滞するも、昭和の敗戦後、日本語の文法研究方面からの進出、およびあらたに発展をみた文体研究分野の一環として復活するという見取り図。速水博司『近代日本修辞学史 西洋修辞学の導入から挫折まで』(有朋堂1888/9)、および同じ著者による同書の抄出・改訂版『レトリックの歴史 近代日本』(有朋堂1995/5)から得たところの。