書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

『芭蕉研究論考集成』(クレス出版 1999年12月)の第三巻をゆえあって開いたら、・・・

2018年04月15日 | 思考の断片
 『芭蕉研究論考集成』(クレス出版 1999年12月)の第三巻をゆえあって開いたら、板坂元氏の論考が収録されていた。そのひとつが「芭蕉研究の動向」(もと『芭蕉研究』昭和26年12月、復刊第一号掲載)。氏は当時の斯界に芭蕉を「ルムペン町人」「階級脱落者」と規定する風潮があると指摘して、そのような規定が「軽率」であり研究になんらの貢献も行わないと切言しておられる。昭和26年とは西暦にして1951年である。中華人民共和国成立の2年後のこととて、中国史研究でも、天下はまだ初々しく、いまから見てわけがわからず、書いた本人も後年引き下げるような“論文”が相当の専門誌を飾っていた頃である。