goo blog サービス終了のお知らせ 

書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

諏訪哲郎編 『現代中国の構図』から ②

2009年05月08日 | 抜き書き
 一九六九年一一月の佐藤・ニクソン声明が、韓国の安全とともに台湾の安全が日本の安全にとって重要だと述べたことは、中国側に警戒心を抱かせた。七〇年四月、周首相のピョンヤン訪問は「日本軍国主義がすでに復活した」という中国・朝鮮の認識を示すものであった。日本がアメリカに追随していると認識する中国は、まずアメリカに接近した。同時にアメリカ帝国主義による日本軍国主義の復活という中国の論調は影をひそめた。中国は七一年後半ごろから日本「軍国主義」批判を止め、日中友好を提唱した。「北方領土」問題についても、ソ連に反対する立場から日本を支持するようになった (斉藤孝「第Ⅴ章 国際関係における中国」 本書170頁)

 わかりやすい説明である。
 つまり、中国は米国と仲が悪くなると米国と同時にその属国とみなす日本に対する批判を強め、米国との関係が修復されると(あるいはしたい時には)、日本批判を控えたり、日本賛美を行うということだ。
 だがこれ以外にも、米国と日本の関係を疎遠にしたい場合に日本賛美が行われることもあるだろう。もっとも要は、中国政府は日本それ自体にほとんど関心はないということである。
 中国政府の対日政策は、自国の安全保障の観点からするその孤立・弱化による中立化、できれば経済力を保持したままでの属国化が目標、それが“友好”の究極の意味、と考えておくのが無難であろう。

(古今書院 1987年5月)