書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

井上清 「現代史の主要な特徴と段階――序論として――」から

2008年05月28日 | 抜き書き
 歴史学研究会日本史研究会編『日本歴史講座』第七巻「戦後十年史」、東京大学出版会、1957年8月から。

“朝鮮戦争が南鮮とアメリカによって挑発せられたのか、アメリカなどのいうように北鮮ないし共産側が挑発したのか、現在はなお資料が足りない。ただ日本と南鮮およびアメリカとの関係、アメリカのアジア政策の変化を、系統的にしらべてみると、四九年秋からアメリカと李承晩政権が、近く北鮮を攻撃する準備を精力的に進めていたことは、明らかである。(中略)日本の政治・経済も朝鮮戦争への準備に集中されていき、(中略)朝鮮戦争の準備および遂行と関連して、対米単独講和の取引が進められる。” (13頁)

 判断を回避するふりをしながら南鮮=韓国と米国が先に攻撃をしかけたのだぞと暗黙のうちに仄めかし、さらに“大きな情況から見ればどちらが先に攻撃をしかけたかは実は大した問題ではないのだ”というふうに話を逸らせる遣り口。
 ただし、これが案外怪我の功名かもしれない可能性。

◆萩原遼 『朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀』 (文藝春秋)
 →2003年4月19日(土)欄

Michael Kublin/Hyman Kublin 『Russia』から(2)

2008年05月28日 | 抜き書き
"In summer 1950 the North Korean Communist army, using Soviet tanks and aircraft, invaded South Korea. This bold act of aggression was encouraged and supported by Stalin." ( '6 The USSR as a World Power,' p. 188)

 Looks like the latter part is debatable.

◆A.V. トルクノフ著 下斗米伸夫・金成浩訳 『朝鮮戦争の謎と真実――金日成、スターリン、毛沢東の機密電報による』 (草思社)
 →2003年4月17日(木)欄

(Boston, Houghton Mifflin, 3rd edition, 1990)