書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

佐藤忠男 『長谷川伸論 義理人情とはなにか』

2006年08月02日 | 人文科学
 狩撫麻礼原作/たなか亜希夫作画『迷走王 ボーダー』(全14巻、双葉社、1986年9月~1989年8月)で、蜂須賀がしばしば口にして、久保田に「明治生まれにゃついてゆけないよ」と呆れられるフレーズ、

 一本刀土俵入りみてぇなアングルだな

 というその長谷川伸「一本刀土俵入」の幕切れ、有名な主人公駒形茂兵衛の台詞は、正確にはこうだと知る。

「ああお蔦さん、棒ッきれを振り廻してする茂兵衛の、これが、十年前に、櫛、簪、巾着ぐるみ、意見を貰った姐さんに、せめて、見て貰う駒形の、しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす」  (本書115頁)

(岩波書店版 2004年5月)

▲「asahi.com」2006年8月1日、「社会学者の鶴見和子さん死去」
 →http://www.asahi.com/obituaries/update/0801/008.html

 黙祷。個人的には弟さんの方をより尊敬しているのだけれども。