くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「おひさまジャム果風堂」高森美由紀

2016-03-20 10:18:14 | 文芸・エンターテイメント
 地元紙の書評で取り上げられていたので、注文しました。高森美由紀「おひさまジャム果風堂」(産業編集センター)。
 遊園地のヒーローショーでスーツアクターをしている拓真は、ある日妹のサトミが亡くなったという連絡を受けます。
 両親も他界しており、一人遺された子ども・昌(あきら)を引き取ることにしたものの、どう接したらいいのやら。昌自身も、サトミとの生活が閉鎖的だったためかぎこちなくて。
 それが段々と近づいていくのが面白かった。
 昌は箸の持ち方や一般的な食事もわからない子どもです。食事は弁当や給食だけ。
 でも、唯一、サトミはジャムだけは手作りをしていたのだそうです。
 父が事故で亡くなったあと、母は手作りジャムの店を開いて兄妹を養ってきました。
 その思い出と、拓真が昌のために作る料理(ジャム使用)に優しさが溢れています。
 また、スーツアクターの同僚であるつばさの存在が大きいですね。
 彼女は「昔、ヒーローに助けられた」というのですが、これが後半の伏線になっているので、気づいたときには涙ぼろぼろでした。
 わたしの個人的な感覚では、(以下ネタバレ)
昌が実は姪だという設定はなくてもよかったんじゃないかと思うのですが、タイトルから考えるにこのあと続編があるのでしょうか。(果風堂は母の店なので、拓真や昌が店を開くわけではない) 
 親子の情愛とかつながっていくものとか、考えさせられました。