くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「『怖い』が、好き!」加門七海

2013-01-16 20:28:48 | 哲学・人生相談
 加門さんといえば、若竹さんと「すちゃらか紀行」に行った方ですよね。偏った知識ですみません。あ、でも実話怪談話は読んだことありますよ。神道とか陰陽道にも詳しいと認識しております。今回は「よりみちパン!セ」の一冊として読んでみました。「『怖い』が、好き!」(イーストブレス)。 
 うちの夫も読書好きなんですけど、余り共有したジャンルを読んでないんですよね。お互い買ってくる。あんまり貸し借りしません。借りてもわたしがなかなか読まない。一応重なっているのは、ホラー系統ですかね。彼の本棚は黒い背(某ホラー文庫)が多い。 
 わたしが好きなのは怪談なんだと思います。「百物語」のような。
 加門さんは、幼少期から怪異を見てしまう気質だったそうです。でも、自分が見ているものを他の人が理解してくれることがなかった。カカトアルキという虫を、加門さんは例に引きます。二〇〇二年に初めて発見報告がなされますが、当然そのときに降ってわいたわけではない。しかし、調査の結果「カカトアルキ目」という新しい分類が作られることになったのです。
 人間はもっと自分たちの視野が狭いと自覚すべきではないか、常識も見直してみる必要がある。それは、お化けの世界でも同じこと。
 ただ、お化けは「ままならない」存在なのだから、立ち向かったりすることは避ける方がいいと加門さんは言います。無視するべし。なるほど、なんとなくわかります。
 わたしはお化けを見る力はないと思います。不思議体験をしたこともない。なにしろ、日没後に懐中電灯なしで校舎を巡視できるくらいですから。見えたら怖いのでそれで結構、と思っていました。あぁ、でも見えてもかかわらなければいいんですよね。なんだか新鮮な視点でした。
 境界線やものの裂け目には、神様や妖怪が住んでいる。理解できないものには名前をつける。使われたものには魂が宿る。いろんな話題があっておもしろかった。なかでも、日本人は「もったいない」の精神があるから、神仏習合のような独自の文化が生まれたという話が興味深いですね。お互いに都合の悪いところは、少しずつ融通する。災いは、根絶するのではなく、追いやる、散らす。これが「祓う」ということなんですって。
 わたしは神仏習合のような考え方、好きなんです。がんじがらめにならず、形を変えながら、共存できるのは素敵ですよね。
 あ、そうか。妖怪退場みたいな話よりも怪異に驚くような話が好きなのはそのせいかも。