かつて読んだときに滅法おもしろかったんですよね。ついまた借りてきてしまいました。松浦理英子「おぼれる人生相談」(角川書店)。
ふと思ったのですが、人生相談って文庫化しませんよねー。もしくは最初から文庫で出るか。相談ごとはナマモノだから? でも、古今東西悩みのパターンはあるかと思うのですが。
この本は、寄せられたお悩みを一定量に要約しているのですが、そのわきに「原文」がどのくらいあったのか示されています。「便箋3枚、1372文字」「便箋1枚、379文字」というように。たまにファックスやハガキで相談する人もいますが、たいていは便箋を使っています。
「月刊カドカワ」に連載されたそうですが、ふとこういう相談ものって、今はどういう形態で集まるのかと気になりました。
電子媒体なんですかね。それとも、こういうのはやっぱり手書きなのか。雑誌を買わないので、現在どの程度の頻度で人生相談を連載しているのかわからないのですが。
印象的だったのは、子宮筋腫で入院している妹さんに暴言をはいてしまったと悔やむ女性の相談。「死んじゃえばいい」と言ったとのこと。それはひどいなーと思っていたら、ちょっと意外な展開でした。
この方は、親戚のおじさんにケーキをご馳走したんですが、それを食べるのを妹さんは楽しみにしていたそうです。
「オマエ、サイテーだな! 謝れよ!」と怒鳴られ、「オマエの方が死にゃヨカッタンダヨ。だからフラれるんだよ」なんて言われてる。たかがケーキひとつで、死ぬのなんのって、ものすごいですよね。このお姉さんは29歳。妹さんだってそれなりの年だろうと思うんですが。
妹さんとの距離を置くようにと、松浦さんは忠告します。献身が素直に受け入れられるとは限らないのですね。
関東から東北に転校してきたら、同級生と笑いのツボが違っていて楽しくないという高校生の話も気になります。うーん、でも、どんなときに笑うのかって、集団の中でも差異はあると思うのです。
「どのようなことで笑うのかで、その人を計ることができる」と学生のときに聞きました。泣くのは意図的にできるけれど、笑うことはそうはいかない。下品な話題で笑う人も、一ひねりした冗談で笑う人もいる。
まあ、テレビ番組でもどこがおもしろいのかわからないギャグはありますね。
どうだかわからないけれど、その友達は相手のことがよく分かっているから笑えるのかもしれないとも思いました。
ダラダラしてやるべきことをしない、好きなことすらしないという相談にたいして、松浦さんが生活にメリハリがないからではないかと推測するのも考えさせられます。単身赴任のお父さんの分も、家のことで母親を助けなければという彼女に、新しい視点を投げかける。
言われてみれば、たしかに高校生の女の子に父親がわりなんてできるわけはないですね。おそらくその分手をかけずにすむよう自律してほしいということなんでしょうが。
深沢七郎のように破天荒な人生相談をしてみたいと語る松浦さんですが、文章から優しいお人柄が感じられ、ゆったりした気持ちで全文を読むことができました。
ふと思ったのですが、人生相談って文庫化しませんよねー。もしくは最初から文庫で出るか。相談ごとはナマモノだから? でも、古今東西悩みのパターンはあるかと思うのですが。
この本は、寄せられたお悩みを一定量に要約しているのですが、そのわきに「原文」がどのくらいあったのか示されています。「便箋3枚、1372文字」「便箋1枚、379文字」というように。たまにファックスやハガキで相談する人もいますが、たいていは便箋を使っています。
「月刊カドカワ」に連載されたそうですが、ふとこういう相談ものって、今はどういう形態で集まるのかと気になりました。
電子媒体なんですかね。それとも、こういうのはやっぱり手書きなのか。雑誌を買わないので、現在どの程度の頻度で人生相談を連載しているのかわからないのですが。
印象的だったのは、子宮筋腫で入院している妹さんに暴言をはいてしまったと悔やむ女性の相談。「死んじゃえばいい」と言ったとのこと。それはひどいなーと思っていたら、ちょっと意外な展開でした。
この方は、親戚のおじさんにケーキをご馳走したんですが、それを食べるのを妹さんは楽しみにしていたそうです。
「オマエ、サイテーだな! 謝れよ!」と怒鳴られ、「オマエの方が死にゃヨカッタンダヨ。だからフラれるんだよ」なんて言われてる。たかがケーキひとつで、死ぬのなんのって、ものすごいですよね。このお姉さんは29歳。妹さんだってそれなりの年だろうと思うんですが。
妹さんとの距離を置くようにと、松浦さんは忠告します。献身が素直に受け入れられるとは限らないのですね。
関東から東北に転校してきたら、同級生と笑いのツボが違っていて楽しくないという高校生の話も気になります。うーん、でも、どんなときに笑うのかって、集団の中でも差異はあると思うのです。
「どのようなことで笑うのかで、その人を計ることができる」と学生のときに聞きました。泣くのは意図的にできるけれど、笑うことはそうはいかない。下品な話題で笑う人も、一ひねりした冗談で笑う人もいる。
まあ、テレビ番組でもどこがおもしろいのかわからないギャグはありますね。
どうだかわからないけれど、その友達は相手のことがよく分かっているから笑えるのかもしれないとも思いました。
ダラダラしてやるべきことをしない、好きなことすらしないという相談にたいして、松浦さんが生活にメリハリがないからではないかと推測するのも考えさせられます。単身赴任のお父さんの分も、家のことで母親を助けなければという彼女に、新しい視点を投げかける。
言われてみれば、たしかに高校生の女の子に父親がわりなんてできるわけはないですね。おそらくその分手をかけずにすむよう自律してほしいということなんでしょうが。
深沢七郎のように破天荒な人生相談をしてみたいと語る松浦さんですが、文章から優しいお人柄が感じられ、ゆったりした気持ちで全文を読むことができました。