くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉

2011-11-05 00:00:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
カゲヤマというとわたしが思い出すのは、身長二メートルのバレーボール選手なんですが、字が違いますね。彼は蔭山、そして、この物語の登場人物は影山。執事兼運転手。かつてはプロ野球選手か探偵になりたかったという敏腕……。
いわゆるアームチェアディテクティヴものですが、とっても、なんていうかキャラクターが立ちすぎのミステリです。東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」(小学館)。
いまさら言うまでもないのですが、本屋大賞・ドラマ化(しかも影山役が桜井くん)と大ヒット。近々続編も出るんだとか。
大富豪のお嬢様なのに、国立署の刑事として勤める宝生麗子。上司は自動車メーカーの御曹司を気取る風祭警部。二人には解決できない問題も、影山にかかればするすると解きほぐされてしまうのです。
その推理を語るときの影山の毒舌が人気のようです。
「ひょっとして、お嬢様の目は節穴でございますか」
「お許しください、お嬢様。わたくしチャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます」
聞くたびに激怒しながらも、影山をクビにすることはできない麗子。二人の掛け合いがおもしろいのですね。「こちらはイトーヨーカドーの一九九五円ものでございます」とか。
すごくするっと読めます。
最近学校図書館の研修会で、「今の中学生は、ケータイ小説とかミステリ系統ばっかり読むよね。海道尊とか東野圭吾とか」という発言があって、じゃあ、どういう小説ならいいのかなと不安になってきました。海道・東野ならいい方では? わたしなんてそういう中間小説ばかり読んでますよー。
この本も、きっと中学生は楽しめると思います。実際に、ドラマを見ていておもしろいから、読んでみようと言っている子もいました。たしかに読書感想文向きではないけど、こういうコミカルな作品を濫読するのは悪くないとわたしは思うのです。娯楽的な読書すらできない子も増えているので。
ところで、エリートの風祭警部三十二歳、加賀恭一郎よりも階級が上ですよ!(笑)
わかりやすい例でたとえられている花形満がたまりません。こういう「くすぐり」がいいんでしょうね。
表紙にも作中の小道具がちりばめられていて楽しい。このイラストに引かれて手に取った方も多いそうです。(「本屋大賞」推薦コメントによる)