くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ゴーガイ!」③ 飛鳥あると

2011-11-06 06:22:39 | コミック
十年ぶりに会った友人のEちゃんと話していたら、なんと飛鳥さんと高校で同級だったんだって。当時から担当さんがついてバリバリ描いてたよ、試験と締め切りが重なって苦しんでいたこともあった、と教えてくれました。
飛鳥あると「ゴーガイ!」③(講談社)。これで終わりなんて寂しいですー。
この本を買った次の日、平泉に行ったのですが、世界遺産効果か、平日なのにやけに混んでいましたね。ちょうど岩手の名産を紹介する記事があるんですが、毛越寺の駐車場売店「あやめ」でパンを買いました。白雪ふわふわカステラがおいしーい。わたしはいちじくが大好きなので、クリームチーズと焼き込んであるパンも買いました。こゆき小麦を使った「黄金あんぱん」もおいしかった。
その帰りに本屋を覗いたら、「購入特典」として、作者の取材メモが封入してあるというではないですか! ぎゃーっ、一関で買えばよかったあっ。(北上の本屋でもなかったので、一関限定みたいです)
でももういまさらどうしようもないので諦めます。同じ系列の店なのによー。
③には、前巻でカップルになった亮太と佳奈が再登場。震災後の岩手と、立ち上がるためにあがく人々の姿が描かれます。
瓦礫の町を前に、茫然とするさきるは、報道とは何かを考える場面もあります。
わたし自身は、まだ浜の町には足を運べずにいます。学校で亡くなった子供たちの話を聞くたびに胸が痛みますが、報道される様子を見ていると「助かる道はあったのではないか」という傾向が強く、それにたいしては疑念を感じるのです。たしかに、親として諦められない気持ちは、痛いほどわかります。想定できたのかどうか。これはもう、そのときの勘とか運が分かれ道になったのではないか、と。難しいですね。
さきるの言葉の中に「内陸の葛藤」というフレーズが出てきますが、同じ内陸に暮らす者として目が吸い寄せられました。
もう、内陸は平常を取り戻しています。でも、地震の爪痕はある。少しずつそのあたりも、工事が入ってきつつありますが、おそらく被災地はまだまだしなくてはならないことが多いのでしょう。
一関に行く道は山が崩れて、しばらくの間は国道しか通れませんでした。今は迂回路ができましたが。遠回りは不便。でも、海沿いに比べればきっとずっとまし。
同じようなことは、もっとたくさんあります。そして、さらに遠くにいて、それでも本当ならもう少しこちらのことを考えてくれるべき人々が、政策の対立にあけくれる姿が報道されるのにはげんなりします。
報道ってなんだろう。そんな疑問をラストに投げかけるこの作品、さきるが自分の目で捉えて伝えていくと決意してのエンディングに思わずうなずきました。
本社に転勤して新しい生活を始める本来の最終回とはパラレルな位置にあるため、この回を「特別編」としたと書く飛鳥さん。でも、これはさきるの物語には必要な一編だったと思います。
岩手との県境に住んでいますが、行ったことのない場所も多く、それ以上になじみの場所も多く紹介されて、とてもおもしろく読みました。
今後もご活躍を!