魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ドチザメ

2021年06月20日 16時54分28秒 | 魚紹介

今回は久しぶりに軟骨魚類の記事を書いていきます。ドチザメ科のドチザメ。

ドチザメはメジロザメ目ドチザメ科の魚である。全長1.2mほどになる種で、日本では北海道から九州の沿岸域に生息している。沿岸域に生息するサメといえばネコザメやナヌカザメ、トラザメといったサメもよく知られているが、ドチザメ科の魚はこれらの魚と異なり、卵ではなく仔魚の状態で産まれてくるのである。これらの個体は幼魚であり、いけすの中などで産まれたのかもしれない。

ドチザメの仲間は日本にも何種かいるが、この横帯の模様でほかの種類と見分けることができる。横帯が太いサメの仲間にはメジロザメ科の大型種であるイタチザメというのもいて格好いいが、このドチザメも格好いい。またイタチザメほどは巨大化しない。イタチザメは全長が4m近くにもなり、魚や鳥、爬虫類、哺乳類まで食うが、ドチザメは全長1.2mほどで、沿岸で小魚や甲殻類などを捕食している。夜に活動的になり、夜のぶっこみ釣りではお馴染みの魚だ。

このドチザメたちはほかの魚を購入した際についでに入れてくれたものである。サメの仲間の小型個体の美味しい食べ方はよくわからなかったが、捨てるのはもったいないので、皮を引いて頭を落として唐揚げにしたらかなり美味しいものであった。

今回のドチザメは長崎県 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コバンヒイラギ

2021年06月19日 10時54分22秒 | 魚紹介

昨年12月、宮崎の門川の漁師Wadaさんから、いろいろな魚をいただきましたのでご紹介します。

今回久しぶりに出会った魚のひとつ、ヒイラギ科のコバンヒイラギ。

コバンヒイラギは見た目がイトヒキヒイラギ属のオキヒイラギに似ているように思う。体は若干長めで、黒い大きな模様がある。しかしながら、オキヒイラギとは明らかに異なる特徴がいくつかある。

まずは両顎に大きな犬歯のような歯をもっているということである。ヒイラギを釣っている方ならわかるかもしれないが、ヒイラギの口には犬歯のような歯がないのに、このコバンヒイラギはすごい強そうな歯を有する。

もう一つの特徴は口が前方へ突出するということである。これはもしかしたらほかのヒイラギの仲間とは食性が異なるのかもしれない。ヒイラギは底生動物や甲殻類を食べているのだが、コバンヒイラギはいったい何を食べているのだろうか。魚でも食べているのか、残念ながらわからない。

分布域は魚類検索の第三版では沖縄島、台湾南部、浙江省、広東省、海南島、トンキン湾、インドー西太平洋となっているが、最近は九州の南部(鹿児島県笠沙、宮崎県)でも漁獲されている。「門川の魚図鑑」という本には、「宮崎県で近年急激に増えてきた熱帯性の魚の一つ」と紹介されている。死滅回遊ではなく、明らかに繁殖しているのだと思われる。急激に増えたが門川では食用にはならず、捨てられてしまう、もしくは養殖魚の餌となる、とある。ただ新鮮なコバンヒイラギ、ぜひとも食してみたいところである。

今回のコバンヒイラギは宮崎県門川のWadaさんより。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セイタカヒイラギ

2021年06月18日 22時26分02秒 | 魚紹介

昨年末に宮崎県の漁師、Wadaさんに送っていただいた魚です。

昨日まで3回連続でアジ科をご紹介しましたが、今回はアジ科ではないもの。ヒイラギ科のセイタカヒイラギ。セイタカヒイラギはその名前の通りでヒイラギ科の魚の中ではかなり体高が高いのが特徴的な種類である。

セイタカヒイラギ属(11種)の魚は日本では2種が知られている。よく似たもう1種のシマヒイラギは背中に明瞭な線があるが、本種にも線がはいる。ただし本種の場合は目立たない。またシマヒイラギの体側には黄色い斑点がはいるのも特徴だが、このセイタカヒイラギの体側には黄色い斑点が入らないのも特徴である。

セイタカヒイラギ属の特徴は胸部の鱗がほとんどないことである。これにより本属魚類によく似たタイワンヒイラギ属と見分けることができる。タイワンヒイラギ属は胸部に細かい鱗がある。タイワンヒイラギ属は4種が知られ、このうち日本にはタイワンヒイラギのみが知られている。またシマヒイラギはAurigequulaという属名が使われることもあるが、色彩など以外では差が見られないという。

このセイタカヒイラギは全長250mmあり、成熟した卵巣が見られた。この種類が宮崎で見られるようになったのはつい最近のことらしいが、どうやら繁殖できるほどのサイズにまで育つということだ。年齢はわからないのだが、越冬しているといえるかもしれない。沖縄では本種は食用魚で、地方名を「ゆだやーがーら」という。

宮崎のWadaさん、ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カイワリ

2021年06月17日 19時42分48秒 | 魚紹介

今年の3月の終わりにぶろぐを削除されましたので、4~5月のできごともご紹介します。というか記事を消した某会社の社長に損害賠償請求するぞー。

久しぶりにカイワリを購入。カイワリはアジ科の魚で体高が高い。このぶろぐでは何回か出てきているのでお馴染みともいえるが、購入したのは2013年以来で久しぶりのような気がする。全長30cmをこえるなかなかのサイズ。ただし本種は大きいものでは全長50cmくらいになることもあるよう。そのくらいのサイズでは体が若干長めのようにも見え、シマアジと間違えられるかもしれない。本種はシマアジに近い仲間なのだ。

なお、カイワリの学名はKaiwarinus equula (Temminck and Schlegel, 1844)を使用すべきである。分類についてはFishbaseやらWikipediaなどではヨロイアジ属とされていて、学名もCarangoides equula (Temminck and Schlegel 1844)となっていたりするが、ヨロイアジ属よりもシマアジ属などに近いとされているし、特徴もだいぶ異なっているようで、ヨロイアジ属に入れるべきではないだろう。もっとも、ヨロイアジ属は単系統ではないとされており、細分化されることになりそうだ。カイワリ属は本種のみ、もしくはCaranx dasson Jordan and Snyder, 1907の2種を含めたりする。後者はハワイ諸島産でしばしばカイワリのシノニムとされているが、日本のものとは明らかに違う特徴を持つ。

シマアジに近いということでお刺身にしたほうがよかったような気もするのだが、今回は塩焼きでいただいた。カイワリといえば底曳網で大量に漁獲され、干物にして売られていることもある。やはり美味しい。味がよいアジ科魚類の中でもカイワリはかなり上位に位置するものではないかと思う。

今回のカイワリは長崎 印束商店 石田拓治さんより。ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テルメアジ

2021年06月16日 21時01分07秒 | 魚紹介

昨年末に宮崎県門川の漁師、Wadaさんから同地で漁獲された魚をたくさんいただきました。ありがとうございます。大きめのカマスからチョウチョウウオのトリクチスまでいろいろな魚をいただいたのですが、その中に初めて見る魚も多数入っていたので興奮しました。ちなみに以前ご紹介しました、ヒメオコゼも同じ便のもの。そして今回特に心をおどらせたのは、あるアジの仲間。

 

それが、このテルメアジというアジである。

テルメアジはアジ科メアジ属の魚である。メアジ属はメアジとテルメアジの2種類からなるが、日本では従来はメアジのみ知られていた。テルメアジという名前は非公式的には2008年(の愛媛での魚類学会)から使われていたようだが、2011年に正式に日本から報告され、テルメアジの和名も種の標準和名となった。九州ではここ何年か南方系のアジがいろいろ見られ、イトウオニヒラアジ、ヒシカイワリ、サクラアジ、ヨコヅナマルコバンといった種類が報告されたほか、一時ミヤカミヒラアジ、クロボシヒラアジ、ウマヅラアジなどもかなり多くとれていたように思う。しかし近年はこれらの種が少なくなっているような話も聞くが、やはり黒潮の流れに左右されるのだろうか。

メアジ

 

テルメアジの側線

メアジの側線

本種とメアジは側線の様子で見分けることができるので、それほど区別は難しくはないだろう。簡単に言えばメアジは側線の湾曲部と直走部が同じくらい長いが、テルメアジは直走部のほうが明らかに長い。説明するよりも写真で見ていただいたほうが早いと思う。なお、体側の黄色縦線の有無はメアジでも出るため、同定には使うことができない。

分布域はメアジは世界の熱帯・亜熱帯域に分布しているが、テルメアジは西太平洋とアンダマン諸島以東のインド洋に見られる。タイでは本種の群れがダイバーに人気だが、従来はホソヒラアジの群れとされていた。ただしホソヒラアジとは別種であるので注意が必要である(Fishbaseのサムネの水中写真もテルメアジっぽい...)。ちなみにホソヒラアジは黄色帯の入り方や上顎の歯の有無で見分けることができるようである。国内の分布はメアジが東北太平洋岸から琉球列島、テルメアジは宮崎近海。メアジは刺身や焼き物、揚げ物など様々な料理に向く大変おいしい魚ではあるが、テルメアジのほうは獲れる数が少ないようで、食用となっているかはわからない。ただ、東南アジアでは食用になっているようだ。

この度は門川のWadaさんにお世話になりました。ありがとうございました。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする