魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

スポッテッドナイフフィッシュ

2016年06月21日 12時20分35秒 | 魚介類飼育(淡水)

今年の4月1日に我が家にやってきたスポッテッドナイフフィッシュ。アロワナ目に含まれ、モルミュルスの仲間を除けば、アロワナ目の魚を飼育するのはこれが初めて。黒いサケの切り身のような体に多数の目玉模様がある種で、アロワナ、ガー、ポリプテルスなどとともに親しまれてきた大型魚。

ところがこの個体には問題があり、片方の眼がなくなっているのと、顎がかなりずれてしまっている。魚の場合は側線などの感覚器官も充実しており、メキシコの洞窟に生息するブラインドケーブカラシンという両眼が退化したような魚もいるくらいで、眼はなくてもさほど問題は大きくないのかもしれないが、顎のずれは餌がとれなくなることもあり、心配である。


しかし結局あまり心配しなくてもよかった。下を向いて配合飼料を器用に食べる。配合飼料の種類はハイギョと同様にデルフレッシュフード。全長20㎝というとこであるが、成魚は全長50㎝をこえ、自然界ではメータークラスになるということで成長が楽しみ。写真の右の水草はウィローモスで流木を覆うようにして育つ。こちらも楽しみ。



同居している魚はカワアナゴ科の2種類。この間ご紹介したオキシエレオトリス・ウロフタルムスとギウリス・マルガリタセアと思われる東南アジア産の種。東南アジア産の種は日本のタメトモハゼによく似ているが光沢が美しい。日本のタメトモハゼは学名がまだ決まっておらず、同種という可能性もあるようだ。ギウリスのほうは特になにもなくデルフレッシュフードを口にするが、オキシエレオトリスのほうはこの餌を入れても吐き出してしまう。小エビやメガバイトレッドなどは好んでよく食べるのでこれらの餌をあたえている。ほかに何種か餌をあげるべきなのだが。 

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フィリピンのタマガシラ類

2016年06月18日 15時36分27秒 | 魚紹介

この間巨大なヒトスジタマガシラを入手した。以前HN「鈴鹿」さんからいろいろなフィリピン産のタマガシラをいただいていた。フィリピン産のタマガシラ属は日本と共通の主も多い。いただいた種はすべて日本にも分布する種である。

属の和名になっているヨコシマタマガシラ。体側にオレンジ色の太い縦線が入ることが特徴。幼魚期間は黄色が強くてフタスジタマガシラの幼魚にも似ている。日本では屋久島以南の琉球列島のサンゴ礁域で普通にみられるようだ。フィリピンでは内湾の釣りで釣れるらしい。

ヒメタマガシラはヒトスジタマガシラに似ているが尾鰭は長く伸びず、TRacも少ない。体色は薄い黄色で、体側には暗色の縦帯が入る。日本では相模湾以南に分布し、もちろん沖縄にも生息する。内湾の砂地に多いようである。幼魚は白っぽい体に黒い縦線が入り、ベラの仲間の幼魚にも似ている。


ハクセンタマガシラは主に琉球列島以南に生息する。内湾のサンゴ礁域やその周辺の砂地に生息する種。体は灰色っぽいが、背中には白い線がはいりよく見たらきれいな種である。


フタスジタマガシラは南日本の太平洋岸でも見られる普通種。幼魚は黄色で体に太い線が入る。成魚になると上顎後方から背中に向かって伸びる帯が目立つようになり、ほかの種と間違えるようなことはまずない。体側に大きな傷があるが、これが漁業により得られたものだと考えられる。この種は食用魚としても知られている。フィリピンのものは幼魚は黄色と黒と白の3色であるが、中央太平洋では体が一様にオレンジというか、黄色というか、そんな色の個体が知られている。幼魚は牙に毒を有するヒゲニジギンポなどに擬態しているということが知られており、その一様にオレンジ色の色彩をもつ種は中央太平洋のヒゲニジギンポ属魚類に擬態しているのかもしれない。


シンジュタマガシラ。写真は幼魚。成魚は灰色っぽい体に小さな黄色の斑点がちらばり美しい種類である。幼魚の色彩は腹が黄色、背中のほうは白っぽく体側に太い黒色縦線が入るが、これはフタスジタマガシラ同様に、有毒の牙を有するヒゲニジギンポ属魚類に擬態しているという。このような色彩をもつ魚はこの仲間のほか、テンジクダイ科のヤライイシモチ属の一種にもいるが、ヤライイシモチ属の魚は体が細長くよりヒゲニジギンポの仲間に似た模様を持っていたりする。沖縄島以南に生息するが、日本ではまれである。


カメンタマガシラ。この種は以前このぶろぐでも紹介したことがある。模様が独特なのでほかの種と間違えるようなことはないだろう。フィリピンの近海にはほかにもヒトスジタマガシラ、タイワンタマガシラ、あるいは日本にはいないメガネタマガシラ、Scolopsis temporalis、日本からも水中写真により記録されているScolopsis trilineataが生息しているようだ。

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ヒトスジタマガシラ

2016年06月15日 18時03分39秒 | 魚紹介

今日は購入した珍しい魚が届きました。スズキ目イトヨリダイ科ヨコシマタマガシラ属のヒトスジタマガシラ。

イトヨリダイといえば、体がピンク色で黄色く細い縦線があり(少なくとも私のブログの読者にとっては)食用魚としてよく知られている魚であるが、ヒトスジタマガシラは灰色の地味な色彩と体側に黒い縦線が1本あるのが特徴。

一見地味なのだが、両眼を結ぶ水色と黄色のラインがきれい。

ヒトスジタマガシラの前鰓蓋には鋸のような棘があるので注意しなければならない。なお、この棘があることにより、イトヨリダイ属やキツネウオ属と区別することができるようだ。

また眼下骨に大きな棘があることで、タマガシラやアカタマガシラなどをふくむタマガシラ属の魚と区別することができるようだ。上の写真、赤い丸でしめしたのがそれである。

胸鰭基部には目立つ黒い線が入る。「魚類検索」では同定のポイントとして挙げられてはいないが、ヒメタマガシラとの区別にはある程度使えるかもしれない。またTRac、日本語で言えば背鰭棘条部中央下側線上方横列鱗数がヒトスジタマガシラでは5~6、ヒメタマガシラでは4である点も特徴のようだ。ほかヒメタマガシラでは尾鰭上葉が伸びないのも特徴とされている。

ヨコシマタマガシラの仲間はインドー西・中央太平洋に広く分布し(ハワイ諸島には産しない)、サンゴ礁域やその周辺の砂地に生息しているものが多い。このヒトスジタマガシラもサンゴ礁周辺の砂地に生息し、水中写真で撮影されることも多い。日本では今回この個体が漁獲された高知県のほか、愛媛県愛南町や琉球列島に分布する。海外では台湾、西太平洋に分布する。インド洋にも分布するといわれるが、ほかの種と混同されている可能性が高い。ただしアンダマン海やオーストラリアのインド洋沿岸にはいるらしい。

ヒトスジタマガシラは沖縄で釣れるのだが多くは全長20~30cmほど。しかしこの個体は特に大型で全長39.9cmに達していた。しかも尾鰭上葉が途中で切れるような感じでこの大きさなので本当はもっと大きいかもしれない。北方にいる魚はヒトスジタマガシラにかぎらず大きくなる傾向があるようだが、この個体もそういうものかもしれない。

今回はお刺身に。

あらの煮物。

特に刺身が美味しい。沖縄では食用魚となっていて市場にもでるようだ。今回は高知県の市場で水揚げされたもの。本州ではめったに見られないが、四国では土佐清水市以布利から愛媛県愛南まで時々水揚げされる。

最後に。こちらは愛媛県愛南町で2014年に採集された個体。

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タカサゴスズメダイ

2016年06月14日 19時16分25秒 | 魚紹介


今年は年のはじめに書きましたように、以前に採集したり、釣ったりした魚もご紹介できたらなと思います。

写真のスズメダイはタカサゴスズメダイという種。スズキ目・スズメダイ科・スズメダイ属の魚で、以前にも紹介したスズメダイと同じ仲間である。このスズメダイ属はスズメダイ科としては最大のグループで100種あまりが知られている。日本産は少なくとも32種が知られているが、まだ写真だけ撮影されていて論文としてでていないものもあり、種類はもう少し増えるのではないかと思われる。特に最近は水深100mほどの場所で魚を探すのが盛んであり、種類はまだ増えるのではないだろうか。

タカサゴスズメダイは日本では伊豆諸島、相模湾以南太平洋岸に分布するが基本的には熱帯性のスズメダイであり、沖縄や小笠原諸島に多い。この個体は高知県で小物釣りをしていたときに釣れたもの。2007年には2匹釣れたが2008年は1匹しかつれず、それ以降は一度も見ていない。

色彩は茶褐色で少し見ただけでは地味ではあるが、よく見ると体が緑色に輝き美しい種類。大きい個体では鰓蓋に黒い横帯が入り、尾鰭後端に黒点が入る。体高がスズメダイに比べ低い、などの点でほかのスズメダイの仲間と区別されるがあまり気にされていないようだ。

タカサゴスズメダイ尾鰭

モンスズメダイとは体が低めな点でよく似ているが、尾鰭後端が黒くないので区別は容易である。一方タソガレスズメダイという種は尾鰭が上・下両葉外縁が黒くなること、胸鰭の付け根付近が黄色っぽくなることから区別されるものの、この種は日本では久米島から知られるのみで、やや珍しい種とされる。

2008年に採集した個体を飼育していたが写真は1枚、しかもバケツにいる個体の写真しかない。残念ながら水槽内ではあまり長生きしなかった。オヤビッチャなどと一緒に飼育していたせいかもしれない。この属にはクロオビスズメダイやヒメスズメダイなど温和で臆病な種類もいるのである。沖縄では食用になっており、市場にも出ることがある。5月の喜界島ではキホシスズメダイがパックに売られて売っていたし、奄美では大きなアマミスズメダイが販売されていた。スズメダイといい、九州ではスズメダイ属の魚は人気の食用魚たちだ。

 

 

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スジハナビラウオ

2016年06月12日 02時11分24秒 | 魚紹介


某コミュで色々あって、ハナビラウオの画像を探していたが、けっきょく見つからなかった。

一方古い画像をあさっていたら出てきたのがこれ。スジハナビラウオと思われる種。全長15cmくらいの個体。これは日本海岸でマグロの子(ヨコワ)をまき網で獲る船が採集してきたのだと思われる。まき網ではマグロのほかにもトビウオやタチウオの仲間がいろいろ獲れる。面白い漁ではあるがとくにマグロのまき網については風あたりが強くなってきているのが残念である。

スジハナビラウオをふくむエボシダイ科は3属16種が知られる。そのうち本種の属するスジハナビラウオ属は5種が知られ、日本近海においてはそのうち4種が生息している。最も大きくなるハナビラウオは全長60cmに達する。ほかシマハナビラウオ、クラゲウオ、そして本種が知られており、スジハナビラウオは側線鱗数60~63であること、吻がやや丸いことなどの点で異なる。ただしほかにも、これに似ているもので正体不明のスジハナビラウオ属魚類が福岡県の日本海岸などでしられており、この辺はまだまだ分類学者にとっては熱くなるだろう。

分布域は日本では千葉県・若狭湾~琉球列島。海外では太平洋・インド洋・大西洋。幼魚は流れ藻などの浮遊物やクラゲなどにつくが、成魚ではそれらから離れ、中深層を泳ぐようになる。食味についてはあまり知られてはいないものの、近縁種のハナビラウオは刺身などで美味であった。ハナビラウオは2回か3回、見ているのだがなぜ写真を撮っていなかったのかと後悔させられた。

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